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01-17



 
 目的地のスーパー近くの倉庫裏(つまりたむろ場)に到着すると、俺達はヨウ達と合流。
 

 俺やココロ、んでもってタコ沢と後輩二人を除く全員が揃っていた。
 タコ沢の奴、日賀野達の対峙に終止符が打たれるとチームになかなか顔を出さなくなったんだよな。「俺は馴れ合いはせん!」寧ろ舎兄弟に雪辱を晴らす! なーんて意気込んでるものだから…、ちぇ、過去のことは水に流して、俺等と仲良くわいわいすりゃいいのに。

 そりゃタコ沢ってあだ名を付けられたり、チャリで踏まれたり、その他諸々のことはあるだろうけど。

 しかも直接の原因は俺とヨウにあるけど…、一緒に喧嘩したんだぜ! 仲良くしたって罰当たらないと思うんだけど! まあ、来たら来たでおっかけられそうだから、気持ち的に複雑だったりするんだけどな!
 
 
 閑話休題。
 
 俺達は後輩二人が此処に来るまで他愛のない会話で盛り上がって、二人が来ると昼飯を取るために移動開始。
 昼食は安上がりで済むファーストフード店に行くことになった。不良の団体が二階を陣取って飯を食うってのは、店側に取っては傍迷惑な事極まりないだろうけど、うん、ごめんなさい。飯代は払うんで堪忍して下さい。

 ファーストフード店で飯を食った後は、のらりくらりと通い慣れたゲーセンへ。
 
 そこでゲームをする奴もいれば、隅で駄弁る奴もいる。慣れた光景だ。
 俺は大体ゲームをする組に入るんだけど、今日は気乗りしなくて駄弁る組にいた。その内、前橋とのやり取りを思い出してテンションがローに。結局気分を晴らすべく、ゲーセンの外に出た。 
 
 通行人の邪魔にならない壁際に寄り掛かってしゃがみ込むと、大きく深く溜息をついた。
 思い出しだけでも鬱になる、今日の事件。なんで俺がこんな目にっ…、俺に恨みを持ってる奴の犯行か? 俺に恨みを持ってる奴なんて思い当たる限り……、んー、幾度となく喧嘩に付き合わされて来たから思い当たる節はいっぱいだな、いっぱい。

 とはいえ、こういうのは卑怯だと思うんだよ。
 俺の名前を悪用してさ、人様から金を巻き上げようとするなんて…、超卑怯だ。

 
 あーあ、どうしようかなー、反省文。
 なーんて書けばいいんだ? 身に覚えもない反省を書くってのも頭を悩ませるな。
 

 はぁっと溜息をついて、交差する通行人の足並みを眺めていると、右隣に気配を感じた。横目で見やれば、胡坐を掻いて煙草とライターを取り出している舎兄。「ン」俺に火の点いた煙草を一本恵んでくれたから、ありがたく頂戴する。
 最初こそ喫煙自体に抵抗感があったのに慣れって怖いよな。最近じゃ煙草代、折半してヨウに恵んでもらうことも多々あったり。
 
 揃って喫煙する俺等の間には静寂が流れていた。
 
 ヨウがダンマリと向こうの景色を眺めているのは、俺から今日の出来事を話してくれるのを待ってくれているから。んでもって傍にいてくれるのは、別に早く話せとか急かしているわけじゃなく、純粋に俺を心配してくれているから。分かってるからこそ、俺から話題を切り出した。「反省文どうしよう」と。
 ふーっと紫煙を吐き出すヨウは、「反省文?」俺に疑問の声をぶつけてきた。失笑を零す俺は、その場に座って胡坐を掻く。


「俺、恐喝したらしいんで反省文を書かなきゃいけないんだけど…、半枚で終わりそうなんだよ。んー、どうしたものかなぁ」

「はあ? 恐喝?」

「そっ。今朝、登校中のいたいけな新入生を“たやまけいた”って生徒が恐喝未遂したらしいんですよ。だから、その反省文を考え中。三行で終わりそうだから困ってるんだ」
 

 かんなり説明を端折ったせいか、ヨウは何度も首を捻って、「最初から説明しろよ」意味不明だぞ、悪態を付かれた。
 しょーがなく俺は一から十まで懇切丁寧に説明。生徒指導室で起こった出来事から、掛けられた疑いのことから、自棄になって俺が犯人ですと名乗りを挙げたことから、放課後のやり取りから。

 どーせ隠してもヨウにはばれちまうって分かってたし、隠したら追々文句言われるに決まってる。
 洗い浚い白状して、俺は一息つくためにゆっくりと煙草を吸い、紫煙を吐き出した。

 ようやく事の事情が呑み込めたヨウは開口一番に、「アホか」俺の頭をド突いてきた。
 
 「いっでぇ」何するんだよと相手に視線を投げた直後、兄貴の空手チョップが炸裂。俺は悶絶する羽目になった。だけどお構いなしにヨウは、「アホが」また俺の頭をド突いてくる。
 そ、そんなにド突かなくてもいいじゃんかよ! 俺の訴えもまるで無視。ヨウは俺の脇腹に肘打ちして、不機嫌に煙草の灰を地面に落とした。
 



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あきゅろす。
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