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06-17


 

「ああやってココロも成長していくんだな。可愛い子には旅をさせろっつーけど、まさしくそれ。試練もねぇとな」


 余所で聞いていた男子群、クソメンドクサそうなことになりそうだと思っていたりいなかったり。
 確か去年も地味組の恋愛で何かと振り回され「てことだ野郎共」


 !!!


「恋愛初心者のあいつ等をさり気なーくフォローするようにしろよ? あいつ等は、なにかと初心者だからな。世話はしてやらねぇと」

「あれれん? 今、響子ちゃーん…、試練がないとって」

「そりゃあ試練はあるべきだろ? だけどな手助けするな、なんざ思っちゃない。頼られたら相談に乗る。困っている時はさり気なく話を聞く。気付かれないよう手助けするんだよ。これも可愛いココロのためだ。しっかりあんた等も協力しろよ」

 
 うっわぁあ、去年と同じパターンきたんだけど。
 
 てことはなにか? また地味組のやきもきB級恋愛青春物語を見守らなければならないと? しかも気付かれないように? 冗談抜かせな話である。それで去年、散々やきもきしたというのに、またあのやきもきが復活するなんて。
 だがしかし、チームのお局(つぼね)さまはやる気らしい。「ちゃんと見守ってやるからな」可愛い妹分に声援を送っていた。

 ということは?


「あーあーあ…、メンドクセェことになってきだぞ。クソッ、ケイの奴。なんだって面倒事を運んでくるんだ」

 
 舎弟の面倒事に嘆く舎兄だが、「諦めるしかないっぴょーん」だって響子ちゃーんがやる気なんだから、ワタルに促されてガックシ肩を落とした。


「んじゃあ。出来たら連絡するから、堤さん」

「だから先輩。ひなのですってー! またS心を発揮してくれているんですか?」


 ケラケラと笑うひなのは「待ってます」ケイに手を振り、軽快な足取りで駆け出す。
 
 ケイはといえば、「あーあ」俺って人が好い、メモ紙に目を落として溜息ばかり。戻って来るケイに、「ココロ」アタックだと弥生がこそこそ助言。こくこく頷くココロは、よしと気合を入れてBダッシュ。文字通り猪突猛進で彼氏の下へ。
 「うわっつ?!」「うわわごめんなさい!」気合を入れすぎたせいか、前を見ていなかったケイと正面衝突したらしくぺこぺこと謝っていた。

「どうしたんだよココロ。心配しなくても、俺、浮気なんてしてないぞ?」
 
 ポンポンっとケイがココロの頭に手を置いて気を落ち着かせている。空気を読んでくれているらしいが、読み過ぎるのも難点である。
 「あ、その」違うんですよ、アタフタするココロに、「大丈夫だって」よしよしとケイが柔和に綻ぶ。よってココロは唸り声を上げて、「ケイさんの馬鹿ー!」胸部を拳でポカポカ。
 そんなに信用ないのか? 首を傾げるケイだが、そういう問題ではないのだ。そういう問題では。

 受け身ばかりじゃ駄目だと諭されたココロは、懸命にアタックアンドアピール。

「け、ケイさん。私っ…、しゅ、習字! ケイさんの習字を見たいです!」

「え? ああ、毛筆? んーでもなぁ、腕が落ちてるだろうから…」


「で、でも見たいです! 書いてる、す、姿が見たいです! ……堤さんが見てるんですから…、その」


 ケイは少しばかり驚いた面持ちを作るが、すぐに綻び、「分かった」下手くそになってるだろうけど明日にでも家においで、と承諾。
 習字の腕前を見せてくれると約束してくれた。ひなのと違い、瞬く間に約束してくれる彼氏にココロは頑張った甲斐があったとテレテレ。達成感に満ち溢れている顔を作っていた。

 「その調子」グッと握り拳を作る弥生、「頑張れよ」遠巻きに見守る響子、そしてその他オプションは溜息も溜息。

「なんで女って恋愛になった途端、目の色を変えて食いつくんだよ。女って怖ぇ」

 ヨウの疑問もさておき。
 これからの恋愛天気模様が荒れ模様にならないことだけを願い思う、野郎共だった。




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