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05-19


 

「ヨウ、ヨーウ!」


 ヒトリじゃどうにもならなくて、俺は舎兄を助っ人として呼んだ。
 「なんかあったか?」少し落ち着きを取り戻したヨウが部屋に入ってくる。「此処が開かないんだ」ちょっと手伝ってくれ、と簡略的に説明。ヨウの力なら開くだろ。そう思っていたんだけど、ちっとも開かない。

 だったら二人掛かりで!


「ケイ、いくぞ」

「うん。せーの!」


 ガタガタ、襖が震えるだけでビクともしない。
 まさか…、これ幽霊の仕業じゃないだろうな。ビビり始める俺を余所に、ヨウは襖を上から下まで満遍なく見て枠から外してみようかと提案してくる。外したら開けられるんじゃないかと意見した。


「それに見ろよ。片側の枠、釘が打ってある。これじゃあ開かない筈だぜ」


 トントンと襖が通るレールの枠上下を指差すヨウに、俺は本当だと瞬き。これじゃあ力を込めても開かない筈だ。なんのために釘が打ってあるんだろう?
 疑念を抱きながら、俺はヨウと一緒に襖を枠から外した。と、同時にドッと何かが襖に重みが。ズルッと重みは襖を滑って畳に落ちた。ギョッと驚く俺とヨウはつい後退りしてしまう。


「ヨ、ヨヨヨヨウ! なんか、なんか落ちてきた! 祟りっ、勝手に入った祟りかぁああ?!」

「ば、馬鹿! そんなわけねぇだろうが! 多分これが開かなくなったげんい…ん…、しず?」
 

 畳の上に転がっているモノは物でなく、者、だった。
 四肢を投げ出し、死人のような顔を作って瞼を下ろしているシズに俺達は絶句。

 思考停止が刹那の間あったけれど、


「うぎゃぁああああヨウゥウウウ! し、シズが、し、死体でっ、死体でぇええ?!」

「ば、馬鹿怖いこと言うなってっ! お、おおおおいシズっ! シズ―――ッ!」

 
 息を吹き返したかのように舎兄弟大パニック。
 
 だって考えてみろよっ、幽霊が出るらしいアパートの一室で、部屋は無人、電気も点かない。しかも押入れが開かないから、無理やり襖を取ってみた、ら、探していたシズが押入れから転がり滑ってきた。もう大パニックどころじゃない。生きた心地がしないィイイイ!


「し、シズっ、お、起きないし! そんな五日前は生きてたじゃないかぁあ!」

「だ、だから怖いこと言うなってケイッ!」

 
 アパートの迷惑も顧みず、俺達はギャーギャー騒ぎながら畳に転がっているシズを運び出したのだった。




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あきゅろす。
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