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05-17


 

 急かしてくるヨウに呻いて、俺は渋々チャリに跨った。 
 

 ハンドルを切って大きくチャリを旋回させると、折角上った坂を一気に下っていく。
 入り組んだ住宅街を突き進み、小道を使って20分後、無事にシズの家に到着。シズの家は古びた二階建のアパートで、ペンキで塗装されている筈の壁や階段の手すりが剥げかけていた。
 それに、なんか…、いかにも出そうな雰囲気が漂っているんだけど。

 周辺も家々はあるけど殺伐しているし、駐車場が多いし、人気は少ないし、辺りは薄暗いしっ!


「ぶ、不気味だな。此処らへん」

「シズ曰く、ここ一帯は墓地を潰して建物が建っているらしいぞ。だから結構出るんだってよ」


 で、出るって何が?

 青褪めながらガタブルと身を震わす俺に、「そりゃあ」勿論幽霊さんだろ、ヨウは平然と答えた。
 途端に俺はヨウと距離を縮める。ははっ、俺、怖いものとか見たい好奇心はあるけど、見たら絶対に後悔するタイプ。結構ホラー系は駄目なタイプなんだ。ましてや身近に幽霊現象があるなんて言われたら…、うわぁあああ、なんで昼に行こうって言ってくれなかったんだよアニキィイイ!

 って、あぁあああ、なんでさっさと行くんだよヨウ! お前、わざと? それ、わざとか!
  
 「待てってヨウ!」急いでチャリに鍵を掛けた俺は全力疾走で、ヨウの後を追う。
 「ははっ。ビビリ」茶化されたけど、マジ駄目なんだって俺! 肝試しとか無言で全力疾走するタイプなんだから! お前、本当に幽霊が出たら除霊してくれよっ、不良アンドイケメンパワーで除霊してくれよ!
 
 シズは二階に住んでいるらしい。
 
 コンクリート肌剥き出しの階段を上りきった俺とヨウは、副リーダーが住んでいるという201号室へ。

 通路から見える窓を覗き込む限り、明かりは点いていないようだ。それでもヨウはお構いなく呼び鈴を鳴らし、中の住人を呼び出す。応答なし。もう一度呼び鈴。応答なし。整った眉をつり上げるヨウは「ごめんくださーい」と、ドンドン玄関扉を叩いた。やっぱり応答なし。居留守じゃなさそう…、本当に留守なようだ。
 だけどヨウは居留守を使ってるんじゃないかと粘り強く呼び鈴を鳴らす。
 
「ったく、いねぇのか? 嘘付け。ぜってぇ誰かいるだろ。俺の考えを先に読まれたのか?」

「なわけないだろうよ。単にいないだけなんだって。諦めようよ、ヨウ」

「いつもなら諦めるとこだが、折角だしもうちっと粘ってみるぞ。俺」
 
「なにが折角なんだよ、って、あ゛! バカバカ、何して!」

 焦れたヨウがドアノブをがちゃがちゃ回し始める。
 そんなことしてドアが開くとでも「「あ」」、俺達は沈黙を作った。鍵が掛かっていなかったらしい。フツーにドアが開いた。顔を見合わせる俺とヨウ。視線を交わす俺達はドアノブと顔を交互に見やった後、「行くぞ」「駄目だからな」同着で意見した。


「なんでだよ。ちっと中を見るだけだって」

「ふ、ふ、不法侵入じゃんかよ! さ、今すぐドアノブを押して扉を閉めるんだ、ヨウ! 俺は犯罪者になりたくない!」

「ダイジョーブ。不法侵入っつーのは、窓を突き破ったりして家に侵入することだろ? 俺達は玄関から入るって。何かあればシズのダチってことで許してもらえる筈。うっし、お邪魔シマース」





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あきゅろす。
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