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03-18
 
 
 
先輩“以外”の前で脱ぐのはちょっと、って、おまっ…、そりゃ女子が言いそうな台詞。

俺、男だって男。別に上半身を脱ぐ分には男の前であっても構わないというか、なんというか。今の台詞はアリエナイ。 

俺、本当に立場だけじゃなく男のあるべき姿が失われつつある。

 
完全に女子化しちまってるじゃんかよー!
 
どーんと落ち込んで自己嫌悪してる俺に対し、先輩はパァッと目を輝かせた。
 
それはそれは子供のように目を輝かせてくれた。


「空、所有物らしいカワユイことを言ってくれるではないか。なるほど、あたし以外の奴に肌は見せたくないのだな? うんうん、確かにあたしも他者に空の肌を見せるのは抵抗がある。よし、お前達、終わるまで壁側を向いとけ」
 

にこやかに鈴理先輩がグラサン男達に命令したおかげで、男達は壁側に向かって正座。
 
あはは、俺は自分で自分の首を締める状況を作っちまったようだ。
 

どーしよう。
俺、このまま全裸になるべき? ワイルドになるべき?

ううっ…上半裸にはなれるんだよっ、でもそれより下は駄目だろっ、俺、ただの露出魔だろ。変態だろっ! 良いもんでもないだろ!


ってか、あっれぇ、頭が真面目にボーっとしてきたぞ。
 
  
八度もあるのに飛び起きたり、喚いたり、逃げたりしてたから、マジで限界が。視界がちょいぐらついてるし。

ボーっとしてる場合じゃないって、早く対策練らないと、俺、先輩に食われちまう。
 

「さて、空。準備は整ったぞ」
 

うきうきしながら俺の寝巻きシャツと下着シャツをポイポイッと脱がせる先輩。

抵抗しなきゃいけないの分かってるのに、頭が重いという…、成されるがままという…、あ、冷たっ、今、鎖骨辺りを拭かれたような。今は腕? うん、なんか、冷たくて気持ちが良い。

「うっ…」不意に首辺りを拭かれた。冷たさに声を漏らせば、先輩の手が止まる。

あ、首拭かれて、気持ち良かったのに…。


「空、あたしの理性を試してるのか試してるんだな。でなければ今のような嬌声はっ、嬌声はっ。あたしの理性は持って20秒。そろそろ限界が来ているのだがっ。しかも空、先程以上に顔が熱で蕩けているぞっ。冷たさで気持ちが良いのは分かるが…、誘ってるのか? お誘いか? 誘いプレイか?」


あー駄目だ。
先輩の声が途切れ途切れにしか聞き取れない。

何か言ってるのは分かるんだけど…、先輩、何か質問してきたよな? えーっと確か…、
 

「先輩…、気持ちいいっすよ?」
 
 
拭かれた場所、めちゃめちゃスーッとするし、べたついた肌がさらっとなったって感じ。

だけど先輩、俺の返答を聞いた瞬間、身悶えた。あらんばかりにタオルを握り締めて体を微動させる。
 
 
「〜〜〜っ…、理性、よく持った方だ。生肌を見ても即押し倒さなかったあたしを褒めたい。
しかし今のでトドメを刺された。今のは空が悪い。ああ悪いさ。殺し文句だろ? なあ? そういう台詞は別の場面で言ってこそ、もっと魅力的な言葉になる。そうは思わないか? そっ…、おっと、空、大丈夫か?」


「しんどいっす…。視界がグルグルしてきたっす」
 

先輩に凭れて俺は目を閉じる。
 
本当にしんどくなってきたんだ。
やっぱ暴れ過ぎだよな。騒ぎ過ぎだよな。ちょっと先輩に気遣える余裕がなくなってきた。

「まったく仕方の無い奴だな」

ここまであたしを誘っといてまたオアズケか?
先輩の笑声が耳元で聞こえる。髪を梳かれたと思ったら、額に何か柔らかいものが落ちてきた。


「おやすみ。少し寝ろ」


甘い囁きに俺の意識は沈んでいく。うん、もう寝よう。色々と疲れちまったから。
 
それに、凭れてる先輩の鼓動が聞こえてくる。それが凄く安心するんだ。凄く安心、すごく心地良い。
 
 

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あきゅろす。
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