ドラゴン使いクラスの授業光景
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コッホン、えー皆さん。
『ドラゴン使い』にはドラゴンが必要不可欠です。
でないとドラゴン使いなんて呼ばれませんよね。ドラゴン使いが扱うドラゴンのことを『パートナードラゴン』と呼びます。
大体、ドラゴン使いの飼うパートナードラゴンは2〜3匹と言われています。
しかし歴史に名を轟かせたドラゴン使いはパートナードラゴンを1匹しか持たないと、よく言われています。
それだけパートナードラゴンとの信頼・絆の強さを僕達に教えてくれるような気がしますね。
あれ? くさかったですか?
なんか、皆さんの目が冷たい気が……いえ、皆さん、教科書にそう書いてありますよ。
しかもそう感じません?とにかく、歴史に名を轟かせたドラゴン使いとパートナードラゴンの絆は、それだけ他の者より深いのですよ。
さて、復習がてらに【マナ】について触れてみましょうか。
【マナ】とは魔力という意味です。
我々が持っている魔力のことを指します。ちなみにドラゴン使い用語です。普通の魔法使いや賢者は、自分の魔力のことを【マナ】なんて呼びませんから。注意して下さいね。
そして我々と同じように、ドラゴンにも魔力が宿っています。ドラゴンが持っている魔力は、ドラゴン使い用語で【ドラ・マナ】と呼ばれています。
ドラゴン使いである我々は、自分の【マナ】をパートナードラゴンに送り込みます。【マナ】を受け取ったパートナードラゴンは、自分の持っている【ドラ・マナ】と混和し、【マカ】と呼ばれる力に変わるのです。
波長が合わなければ【マカ】は誕生しません。
これはドラゴン使いの腕によって成否が分かれるのです。
もう分かってるとは思いますが、復習として黒板に書いておきますので。
ギュナッシュが教科書を片手に持ちながら、チョークで今説明したところを書いている。
ノートに写しながら、アルスは何度もやった内容だけど実際やるとなると難しいよな……と心の中で溜息をついていた。頬杖をついてノートに内容を書き写していると、ラージャがノートを眺めながら欠伸を噛み締めてきた。
態度で分かる。退屈らしい。
説明していくギュナッシュに聞こえないように、ラージャがアルスに話し掛けてくる。
授業中は話し掛けてくるなといつも言っているというのに。
注意してもラージャは知ったこっちゃないとばかりに、声を窄めて話し掛けてきた。
『お前、これ、下手糞だよな。俺ちゃまに【マナ】を送れた例、ないもんな』
「ウルセェな。だから毎日、練習してるだろ」
『そのせいで、俺ちゃま、寝るの遅くなってるんだぞ。まあ、フツーは【マナ】を送るのに3ヵ月掛かるらしいもんな』
「……それだけが救いだ。マジで。だってよー」
フォルックの方に視線をやり、その後嫌々ながらベルトルに視線をやった。
この2人、既にマナをパートナードラゴンに送れている。
正確に言えば、フォルックは時と場合によって成否が変わってくるが、何度か送ることに成功している。ベルトルに関しては、もう悔しい溜息だ。
大きく溜息をついているアルスに、ラージャはヤレヤレと蜥蜴のような舌を出した。
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