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002


     
 僕は時間になるといつもどおりに家を出て、アルスの家にナーガと行きます。
 あ、ナーガって僕のパートナードラゴンなんです。まだ赤ちゃんドラゴンなんですよ。ちなみにアルスのパートナードラゴン、ラージャとは双子の姉弟で、ナーガはラージャの弟なんです。

 アルスの家に着くと、いつものように呼び鈴を鳴らします。
 鳴らして間もない内にドアが開きます。ドアを開けたのはラージャでした。

「あ、ラージャ。おはよー」
『うっす! 今日のパンツは何色だ?ちなみにアルスは青々とした』


「お月様に代わらずとも飼い主からのお仕置きよブーメラン!」

『ギャースっ!』


 ドアを開けてイキナリ、僕のパンツの色を聞いてきたラージャにブーメランを投げたのは親友のアルスでした。
 見事ラージャの後頭部にブーメランが当たり、ラージャは床に落っこちてしまいます。
 ゼェゼェ息をついているアルスは、ブーメラン片手にラージャの首根っこを掴むと口元を引き攣らせながら、あくまで穏やかな口調でラージャに話し掛けました。

「ラージャさんよぉ。まず、フォルックとナーガにご挨拶だろ? ご・あ・い・さ・つ。OK? それからその後は」
『イテテテッ。ぼーりょく振るう男は女の子から嫌われるぜ? 俺ちゃまこれでも、女の子』
「ラージャ……ご挨拶。その後は?」
『そんなに怒るなって。それくらい俺ちゃまにも分かってらい!』
「じゃあ言ってみろ」
『パンツについてじっくり語り合う、だろ?分かってるぜ? 俺ちゃま、天才だからな』


「アホかぁああ!」


 次の瞬間、アルスが怒鳴り散らしました。
 それはもう鼓膜が破れる! ってぐらい大声で怒鳴り散らしていました。 

「普通の会話をするんだよ!このっ、ド変態ドラゴン! っ、毎日まいにち、朝からこの遣り取り、そろそろお仕舞いにしたいぜ」
『お前もパンツを好きになればイイんだ。パンツはイイぞー。あの形、より取り見取りな柄』
「誰が好き好んで下着を好きになるんだよ!」
『あ、俺ちゃま、こう見えて飼い主思いだからな! 今まで見たパンツの中ではアルスが1番ッ、ギャース!』
「喧しい変態!」
 
 ラージャの体を床に叩きつけて、関節を慣らしているアルスは朝から絶好調のようです。
 僕はアルスを宥めて、改めてアルスに挨拶をしました。肩に乗っているナーガも挨拶をしています。

 息を荒々しく吐きながら、アルスはいつものように片手を上げて挨拶してきました。
 アルスは真っ赤な夕陽色の長い髪を後ろに結っています。


 活発的で何かと僕と正反対ですけど、一番の親友です。


『毎日まいにち、姉がゴメンナサイだぎゃー』
「ナーガとラージャは双子なのに、なんでこいつはこんなに変態なんだよ」
『姉は生まれてからずーっとその性格だぎゃー』
「ま、まあ……楽しい性格だよ。うん」
「楽しい性格なんて可愛いもんじゃねえし。フォルック、お前、ラージャの飼い主になるか?」
「すっごく遠慮する」
「ハッキリ言ってくれやがってー」

 アルスは伸びているラージャの首根っこを掴んで肩に乗せると、僕と一緒に学校へと向かいました。
 途中、オリアンという至上最凶の女の子に会い、僕等の顔が引き攣った……という出来事がありましたが、これもいつものことです。
 これについては話したくないので、スルーしますね。(だってオリアンの話をするだけで、身の毛がよだつんですよ!) 





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