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008


  
「誰が見せるか! アホンダラ!」
『減るもんじゃないだろケチだなお前! 俺ちゃまは、人間のパンツを見るの大好きなんだぞ! 男女問わない!』
「尚更性質悪いっつーんだ!女だけならまだしも」
『お前……もしかして』
「あ?」
『毎日穿き替えてないのか? キタネー』
「この馬鹿ドラゴン!ンなこと誰も言ってないだろ!」


 っつーかパンツ好きなドラゴンって何者だ?


 いや、そりゃこいつはドラゴンだけど。
 こんなドラゴンの使い手になるなんて、真っ平ごめんだ!


 絶対に嫌だと否定するアルスに、ドラゴンは呆れたように言う。
 
 
『男のクセに女々しいな。俺ちゃまは別に売ってある新品でもイイんだぞ? 形が好きなだけだからな! 俺ちゃまの萌えのひとつだ』
「ドラゴンのクセに、萌えなんか使いやがって」
『俺ちゃま、他にも人間がする踊りに萌えを感じる。そう、腹踊りとか』

 腹踊り。何故にドラゴンが知っているんだ、腹踊り。
 というか、泥酔状態の中年の親父がやるあの腹踊りが萌え?目と口を描いて、腹をゆらゆら動かすというあの腹踊りの何処に萌えポイントがあるのだろうか。 
 
「何処に萌えるって?」
『贅肉のついた腹が揺れるところだ』
「萌えポイントおかしいんじゃないか?」
『神秘を感じるぜ』
「辞書で神秘を引いてみろ。この場で使う単語じゃねえ!」
「アルス……その子にするの?」


 様子を見ていたフォルックが訊ねてくる。


 首を大きく横に振ってごめんだと否定する。

 いつの間にかフォルックはドラゴンを腕に抱いているし。
 キョトンとしている真っ白な鱗を持ったドラゴンは「そいつは俺と双子だぎゃー」と紹介してきた。

 大人しそうな真っ白なドラゴンの双子の兄貴が、こんな変態ドラゴンだと?


 どんな血縁だ! 似てない! 全然似てない!


 アルスが否定する中、男性店員が変態ドラゴンを檻から出し抱っこしてみるように言う。
 嫌だと否定すれば男性が笑顔で逃げ道を塞いだ。
 
「言いたいことを言えるって、関係を築く一歩なんだよ? この子、他のドラゴンよりも魔力があって強いんだ」
「ッ、で、でもこいつはー」
『俺ちゃまを抱っこするって幸せ者だぜ?』
「言ってろ、この阿呆ドラゴン」
『お前。女の子を大事にしろと習ったことはないのかぁ?悪口ばっかり言いやがって』
「……はあ? って、お前……まさか」
『どう見ても、メスだ。俺ちゃまは。目、飾りか?』
 

 有り得ねぇ!
 こんな変態で一人称が『俺ちゃま』で、パンツ好きのドラゴン。

 変なところばっかり萌えポイントを置いているこいつ、メス?!


 そういえば、フォルックの腕に抱いているドラゴンは双子とは言ったが、兄貴とは言わなかったような。
 




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