018
「ウワアアアアッ―――!」
フォルックの悲鳴が聞こえた。
何事かとフォルックの方を見ると、太い蔓に右足首を捕まえられて宙吊りになっているフォルックが半泣きになりながらジタバタ暴れていた。
そのまま太い蔓はフォルックを本体の方へ連れて行き始める。
世話の焼ける、とベルトルが舌打ちをしてジランダに、フォルックの右足首を捕まえている太い蔓を狙うよう命を下す。ジランダは頷き火炎を吐いてフォルックを捕らえている蔓を狙う。
が、また他の蔓や根が邪魔してきた。
その間にもフォルックは本体の大きなハエトリグサ似の葉に運ばれて行く。
本体は消化液を垂らしながら、フォルックを待っていた。
「うわああん! 放してよー!」
『ふぉ……フォルック、ああぁ…どーしようだぎゃッ』
ナーガが焦ってフォルックの後を追ったが、小さなハエトリグサ似の葉が阻んでくる。
恐くなってその場から動けなくなり、ナーガは身体を震わせるだけだった。
『こわい……こわいっ、だぎゃ』
『コラアアア! ナーガ! お前、恐がってる場合じゃないぜ! フォルックがピンチだろ!』
『だ………だって』
小さなハエトリグサ似の葉が開いて、消化液をナーガに見せ付けてくる。
ヒィッ!と悲鳴を上げ、ナーガはガタガタ震えた。
助けたい、でも恐い。気持ちが板ばさみになり、ナーガが震え苦しんでいるとフォルックが叫んできた。
「ナーガ!早くそこから逃げないとッ! 消化液掛けられる! イタタタッ、この蔓、足に食い込んでいたーいよぉ!」
……ふぉるっく?
グスンと涙ぐんでナーガがフォルックの方を見た。
フォルックは半泣きになりながら、蔓をどうにかしようと必死に暴れている。
でも、自分の心配もしてくれた。目の前の小さなハエトリグサ似の葉から逃げるように言ってくれた。自分は恐くて何もデキないのに、フォルックは心配してくれた。
そうだ、鳥篭のことだって、フォルックは自分の為に鍵を必死に探してくれたではないか。
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