014
『バッカ! 何してたんだよー! 直ぐに来てくれると思ってたのによ!』
「悪い。モジュ探しに手間取ったんだって。今直ぐ、開けてやっから」
『うわああん! フォルック、遅いだぎゃー!』
「ごめんごめん。間に合って良かった」
『ベルトルさま、ご無事ですか?』
「ああ。疲れたけどな」
鳥篭の鍵を開け、3人はそれぞれのパートナードラゴンを助け出す。
漸く鳥篭の外に出られた3匹は翼を広げ凝った身体を解し始める。身体の節々が鳴って仕方がない。
もう2度と窮屈な鳥篭に閉じ込められたくないとラージャが、ウンザリしながら太い木の枝に吊り下げられている鳥篭の方を見た。「そうだな」アルスは同意する。こっちも2度とこんな授業は受けたくない。
フォルックは胸を撫で下ろして終わったとばかりに安堵の息をつく。
「終わったね。これで、授業は終わりだよ」
「やっと、このブレスレットから解放されるぜ」
「で……これからどうすればイイ?」
ベルトルの疑問に2人は「あ、」と気付く。
そうだ、これからどうすればイイのだ? パートナードラゴンは助け出したのだ。此処からどうやって抜け出せばイイのだろうか。
何処かでウッパとギュナッシュが見守ってくれているのならば、出て来てくれてもイイ頃なのだが。
3人が途方に暮れていると、背後から地面を何かが引き摺っている音が聞こえてきた。
ゾッとして後ろを振り返れば、ハエトリグサに似た食獣植物が二枚貝のように重なった葉を大きく開いていた。開いた葉からは、消化液が見え隠れしている。
―――日が暮れてしまったのだ。
召喚した大きな鏡から3人の様子を見守っていたウッパは少しだけ青い顔をして「大変〜!」と焦った。
折角、パートナードラゴンを救出したというのに、食獣植物が目を覚ましてしまったなんて。
直ぐに助けに行かなければ。
特別授業も終わったのだから。
ウッパが杖を振ろうとした時、同じく鏡から3人の様子を見守っていたギュナッシュがそれを制した。
「なんで、止めるんですかぁ〜」
「もう少しだけ見守ってみよう。ウッパ」
「え〜怪我しますよぉ? さっき、最悪の場合どうなるの〜? って焦ってたのはギュナッシュですしぃ」
「そうなんだけどさ。でも、あの子達の様子を見ていたら、もう少しだけ見守りたくなってね」
ニッコリと笑うギュナッシュが鏡に目を向ける。
何か期待しているような眼にウッパは首を傾げて、持っていた杖を下ろすとギュナッシュと一緒に様子を見守ることにした。
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