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 * *

 
 あっという間に日が傾き気付けば夕暮れ。
 真っ赤に染まってしまった空を見上げ、ナーガが「遅すぎるだぎゃ!」と涙目になっていた。ラージャは「まだ時間はあるぜ?」と退屈そうに欠伸を噛み締める。ジランダは「確か」にと頷いた。


 しかし、ナーガは殆ど時間が無いではないかと喚き叫ぶ。

 もう夕暮れ、この調子だと直ぐに日が暮れてしまうだろう。ガタガタ震えて食獣植物に目をやる。


 まだ目は覚めていないようだが、時折動く素振りを見せる。
 動くたびに過剰に反応してしまうナーガは、死にたくないと恐怖で身体を震わせた。

 双子の弟の様子にラージャが呆れる。
 恐怖を抱いたって仕方が無いではないか。叫んでも焦っても此処から出られるわけではない、自分達にデキることは待つことだけ。


 だったら黙って待っておこうではないか。


 ナーガに「フォルックを信じろよ」と呆れ口調で言えば、ナーガはウッと言葉を詰まらせた。

『信じてないワケじゃないんだぎゃー。ただ、恐いんだぎゃー』
『お前、その臆病な性格、どーにかしろって』
『そんなこと言われても仕方ないぎゃ』
『恐いという気持ちを克服しなければ主人を守れませんよ?』

 痛いところを突かれた。ナーガが黙りこくってしまう。
 ヤレヤレとラージャが呆れて、ジランダが「克服するべきです」と励ますように助言する。

 励まされても、この性格はなかなか……生まれつきだし。直したくても簡単には直せない。
 今も、待っているだけで恐怖を抱いてしまうし。ナーガは小さく溜息をついた。


 日の傾き方は元の世界以上に早い。


 このまま食獣植物が目を覚まして食べられてしまうのだろうか。
 ジランダが物語りを語るようにボンヤリぼやいた。顔を真っ青にし、そんなの嫌だとナーガが叫んだ時だった。


「ナーガ!」


 フォルックの声が聞こえた。
 3匹がフォルックの声の方角に顔を上げれば、主人達がこちらにやって来ていた。
 ラージャは、目を輝かしながら駆け寄って来たアルスに悪態付く。





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あきゅろす。
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