007
そんなこと言われても。
顔を見合わせて、2人はドラゴンの入っている檻に近付く。
ギャースギャース、と鳴くドラゴンの鳴き声は可愛くない。真っ赤な鱗を持つドラゴンや、真っ黒な鱗を持つドラゴンなど、色とりどりドラゴンがいるし。
フォルックはまたもや恐がってしまっている。
この中から、パートナードラゴンを選べといわれても。
頭を掻くアルスに1匹のドラゴンがフンと鼻を鳴らしてきた。
『なんだ。ガキかよ』
「……なーんか、生意気な声が聞こえた」
「あ、この子じゃない?言ったの」
フォルックが指差す。真っ黒な鱗を持つドラゴンが言ってきたようだ。
「こいつ…」アルスが睨めば蜥蜴のような舌を出して、そっぽを向く。
クソ生意気なドラゴンだ。
ヒクリっとアルスが口元を引き攣らせている中、フォルックは檻の隅っこにいるドラゴンを見つける。
真っ白な鱗を持つドラゴンがふるふると頭を押さえて怯えている。フォルックが話し掛ければ、びくっー!と驚いて顔を上げた。
気の弱そうなドラゴンにフォルックは膝を折って、じっと見下ろす。
「君、僕のこと、恐い?」
『っ、こ、恐いだぎゃーっ……臆病者って言うと思うけど恐いだぎゃー』
「僕もドラゴン恐いんだ。これから『ドラゴン使い』になるのに。なーんか、似てるね」
『……だぎゃー』
いつの間にか打ち解けているフォルックは、この子がいいな、と笑みを浮かべている。
結局、フォルックはこのドラゴンをパートナーに決める。
ドラゴンの方も大人しそうだから扱いやすそうだ。
笑みを浮かべて、アルスに見せる。
アルスは「良かったな」と言って自分もパートナーを見つけようと思うが、どうも生意気なドラゴンが気になる。真っ黒な鱗を持つドラゴンもアルスのことを気になってはいるようだ。
フンとそっぽを向いているものの、横目で見てきている。
そして真っ黒な鱗を持つドラゴンが口を開いた。
『フンだ。仕方が無いから、俺ちゃまの主人にしてやってもいいぞ』
「ンだと? この生意気ドラゴン」
『その代わり!』
「あ?!」
『お前のパンツ見せろ!』
「ハアアアア?!」
何だこの変態ドラゴンは!
アルスは更に口元を引き攣らせた。
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