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012



「女の、その、裸いっぱい……だった」
「はあ?! エロ雑誌かよ!なんでそんなの、このジジイが持ってるんだよ!」
「フッ、ウッパに見つからないよう隠していた大事なエロ雑誌じゃ」
「このエロチビジジイ!」
「馬鹿が! 男のロマンじゃぞ?エロ雑誌は! その良さが分からない、お主等はまだまだ子供じゃのうッ、ギャァアアア!」


「俺達はまだ15だし興味ないっつーの! あぁぁ、チックショー! 早く鍵、出て来い!」


 モジュをフルスピードで上下に振りまくる。
 目が回る! 頭に血が上る! というモジュの悲鳴を無視して、アルスがモジュを力一杯縦に振っていると、床に叩きつけられる金属音が三つ聞こえた。


 鳥籠の鍵だ。


 アルスは目を回しているモジュに「どれがどの鍵だよ?」と問い詰める。
 モジュは目を回しながら、全部一緒の鍵だと説明する。それを聞いたアルスはモジュを放り投げて、鍵を拾うと自分の分を取り、2人に投げ渡す。

「早く行こうぜ。時間がねぇ」
「仕切るな三流」


「うっせーな! 本当のことだろ?! ッ、やっべーって!」


 保健室の窓からアルスは身を乗り出すと空を仰ぐ。
 すっかり空が赤く染まってしまった。もう直ぐ日が暮れてしまう! 急がなければとアルスが窓から飛び出す。フォルックは慌てた。

「待って! アルス!先に行くとッ」

「ッ、イッデー!」
「……ッ、三流!」
 
 ベルトルが怒鳴り声を上げた。フォルックは遅かったとばかりに溜息をつく。
 3人で一緒に行かないと、ブレスレットから電流が流れること、アルスはスッカリ失念していたようだ。仕方がなしにフォルックはベルトルと一緒に保健室の窓から外に出て、アルスの後を追うことにした。


 出る間際、フォルックは目を回して床に倒れているズタボロのモジュに目をやる。


「モジュ。どうしよう」

「フン、放っておけ」

 
 後でじっくり始末すればいい。
 ベルトルはフォルックにそう言うと、保健室の窓から外へと飛び出した。

 物騒な言葉を聞いちゃった気がするんだけど……フォルックは冷汗を流しながら後に続いた。


「と〜し〜よ〜り〜は、たいせ〜つに〜するもんじゃぞ〜……」
 
 
 最後の力を振り絞って呟いたモジュの独り言は、誰一人の耳にも届かず、静かな保健室へと散っていった。
  




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