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011



 2人の手によって更にボロ雑巾のようにされたモジュが目を回しながら(意外とタフだ)、「時間が無いぞー」と窓の方を見るよう言う。
 3人が窓の方を見ると、もう空が薄っすらと赤く染まり始めていた。アルスは確かに時間がないと頷くと、モジュに鍵を出すよう言う。モジュはどうにか力を振り絞って舌を出した。

 
「フーンだ。イタイケな老人を苛めたんじゃ。何処にあるか、教えるもんか」
 
 
 ツーンとそっぽを向いてしまう。
 アルスは目を細めて、フーンと鼻を鳴らすと2人の方を見た。

「食獣植物って、小人も食うよな?」
「え? あ、勿論、食べるよ。肉食だし」
「こんなジジイに栄養価があるのか?」
「少しはあるだろ? こいつを食獣植物のとこに持って行こうぜ」


「ッ、待て待てまてー! なんっちゅーオッソロシイことを考えるんじゃ!」

 
 青い顔をしてモジュが抗議の声を上げる。
 ニヤリと笑ってアルスが「じゃあ鍵は?」と訊ねる。
 途端にモジュが口を噤んだ。モジュの態度にヤレヤレとアルスがワザとらしく溜息を付くと、「食べられたいんだな」とモジュの首根っこを掴んだ。
 
 モジュは首をブンブン横に振って、自分の服の何処かにあると白状する。
 服の何処かにある…探すのが面倒だ。アルスはモジュの足首を掴んで逆さ吊りにすると縦に勢いよく振った。


 服からハンカチやティッシュ、入れ歯、何処かの店の割引券(見るからに妖しい店の割り引券だ)……雑誌まで出てきた。


 フォルックが何の雑誌だろう? と手に取り、中身をパラパラと開いた。
 隣にいたベルトルも何気なく中身に目をやる。


 しかし次の瞬間、フォルックは思い切り雑誌を閉じる。


 ベルトルはサッと雑誌から目を逸らして軽く咳払いをしていた。
 手を止めて、何の雑誌だったんだ? とアルスが聞けば、フォルックが顔を真っ赤にした。

 



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あきゅろす。
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