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009



 ベルトルがニヤリと意地悪い笑みを浮かべた。
 モジュが驚いて瓶の方に目をやると、ある筈の瓶が無い。キョロキョロ辺りを探していると、いつの間にか保健室に入っていたアルスがニィーっと笑みを浮かべて、自分の手に持っている物を見せる。


「これ、な〜んだ?」

「ッ、ぬぬぬ! それはッ、作り掛けの超強力動物変身薬! どうやってッ、その投げ縄じゃな!」


 ビシッ! とモジュがアルスの片手に持っている投げ縄を指差す。
 笑みを浮かべ、投げ縄をクルクルと回しながらアルスが口笛を吹いた。

「ピンポーン。この投げ縄で俺が瓶を取っちゃいました」
「道具を使うとは卑怯じゃぞ!」


「ッハ、貴様に言われたらおしまいだ」

「どーかん。さてと……観念しろッ、クソチビジジイ!」

 
 アルスとベルトルが青筋を立て指の関節を鳴らす。
 今まで散々よくも馬鹿にしてくれたな? コケにしてくれたな? 覚悟はいいか? コノヤローッ、と2人の顔にハッキリ書いてある。

 冷汗を流しながらモジュは2人の手から逃れるように、保健室を走り回った。
 逃がすかとベルトルがパチンコでモジュを狙い撃つ。モジュがそれを避ければ、今度はアルスが投げ縄を投げてモジュを捕まえようとする。モジュはアルスの攻撃も避けることに成功する。

 モジュは2人にアッカンベーと舌を出した。



「ワシを捕まえるなんて1000年早い! だーっはははは!」



 笑いながらドアを開け、モジュは保健室を飛び出した。
 このままだったら逃げられる! 大丈夫!
 そう思ったのだが、保健室を飛び出した瞬間、大きな虫取りアミがモジュを襲った。


「な、なんじゃー?!」

「ごめんなさいッ! えいやーっ!」

 
 モジュを捕まえたその次の瞬間、フォルックは持っていた木槌でモジュの頭を思い切り殴った。モジュが痛いと頭を押さえて、その場に座り込む。
 目から飛び出るほどの痛さ。これには涙が目に浮かんでしまう。

 頭を押さえ擦っていると、背後から2つの禍々しい殺気を感じた。


「1000年が何だって? クソチビジジイ」

「もう1度言ってみろ、貴様」
 
 
 恐る恐る振り返れば、アルスとベルトルが薄ら笑いを浮かべて関節を鳴らしていた。
 フォルックはモジュに合掌する。これも自業自得だ。甘んじて2人の怒りの鉄槌を受けてもらわなければ。

 保健室前の静かな廊下にモジュの悲鳴が響き渡ったのは、その直後のことだった。
 




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あきゅろす。
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