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鍵を手に入れろ!



 
「よしよし! もうすぐ完成じゃ!」
 
 
 モジュは匙で掻き混ぜた青紫色の液体を掬ってウンウン頷く。後は仕上げのハーブ消毒液を混ぜれば、強力な動物変身薬が出来上がる。
 想像するだけで面白いとモジュが笑いを堪えた。
 ウッパの命令で渋々3人から逃げることになってしまったが、案外楽しいものだ。子供で感情的なだけに、3人ともからかい甲斐がある。ププッと笑い声を殺しながら、再び薬棚の方へ向かう。


 と、その時、保健室の外から声が聞こえた。


「全然見つからないよ。どーしよう、アルス」

「しょーがないって。地道に探そうぜ? マジックパウダーがこっちにはあるんだしッ、あー! もうマジックパウダー無い! 仕方ないか……もっかい理科室に取りに行こうぜ!」


 その声にモジュは安堵した。

 マジックパウダーを此処一帯に振り撒かれたら、此処に居ることがバレてしまう。
 かといって、この近くにあの3人が居ることも確か。急いで超強力動物変身薬を完成させて、此処から逃げなければ。モジュがそう思いながら再び、薬棚によじ登った。


 刹那、薬瓶が何の前触れも無く割れた。


 驚いてモジュが振り返れば、保健室の窓が開いた。
 その窓から入って来たのはベルトルだった。片手にパチンコを持っている。パチンコで薬瓶を狙い割ったのだろう。
 ベルトルはヒクリと口元を引き攣らせ、くっきりと青筋を浮かび上がらせていた。


「覚悟はイイか? 貴様ッ」

「ぬぬぬっ、よく見つけたのう! ということは、直ぐ近くに2人もいるんじゃな!」


 ウッパのブレスレットの影響で、3人はある程度の距離以上を置くとブレスレットから電流が流れるだろう。
 だからきっと、この直ぐ近くにいる。
 警戒心を抱きながらピョンと薬棚から下り、モジュは作り掛けの動物変身薬の入っている瓶が乗っている机によじ登った。
 未完成でも、これはこれで十分に使える。少しでも近付いたらこれを引っ掛けてやる! とベルトルを見据える。ベルトルの射殺しそうな視線から逃げながら、瓶に手を伸ばす。


「よーし! 来い! 来たら、これ…ン? あ、あれ?」

「ほぉー来たらどうする? そして貴様は何を探しているんだ?」





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