「俺は三流のままでイイ」
* *
相変わらず3人はマジックパウダーを振り撒き、モジュの行方を追う。しかし、廊下や教室各地で反応はあるものの、あと一歩のところでモジュの姿を捉えることがデキない。悔しい思いと一緒に焦りが出てきた。
窓から身を乗り出し空を仰げば、もう日が傾き始めている。
この世界の時間の進み方は、自分達の世界の3倍早いようだ。
まだ2時間しか経っていないというのに、時刻はもう午後3時。
此処に来たのは9時頃なのに。
時計に目をやれば、もう午後3時だなんて。ウッパが消える間際に言った『元の世界よりも時間の進み方が早い』という言葉を今になって痛感する。
アルスは窓枠を握り締めた。グズグズしていたら、あっという間に日が暮れてしまう。
日が暮れてしまったら、ラージャ達は食獣植物の餌となってしまうではないか。
「やべぇって。モジュを早く捕まえないと」
「時間が無いもんね……早くしないと、ナーガ達が」
「こんなふざけた授業で、あいつ等、ラージャを食獣植物に喰われてたまるかよ」
「フンッ、三流はやっぱりあのドラゴンが惜しいか?」
「ッ、何だって? もっぺん言ってみろ!」
「何度だって言ってやる。三流はやっぱりあのドラゴンが惜しいか?」
壁に寄り掛かっているベルトルが皮肉ってくる。
アルスがヒクリと口元を引き攣らせ、鋭い睨みをベルトルに向けた。
焦るアルスやフォルックとは打って変わり、余裕綽々な態度を取るベルトルは鼻を鳴らして肩を竦めるだけ。
アルスは「ふざけるなよ!」とベルトルに怒鳴った。
「あいつ等が心配じゃないのかよ! あいつ等の命、俺等の手に掛かってるんだぜ?!」
「知ったことか。食獣植物でお陀仏したら、それだけの奴だったってことだろ? 俺はこの厄介なブレスレットを外したい為に、仕方なく貴様等に付き合ってやってるんだ」
「どういうことだよ! お前ッ、ジランダのパートナーだろ?! なのに、そんなこと言うのかよ!」
アルスの言葉にベルトルはニヤリと口端をつり上げる。
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