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『俺ちゃましかいない』


 
 鳥篭に閉じ込められて、一体どれくらいの時間が経っただろうか。
 アルス達が自分達の鳥篭の鍵をモジュから奪う為に校舎に入って一体どれくらいの時間が経っただろうか。


 此処には時計が無い為、全く時間が分からない。


 ラージャは大きな欠伸を噛み締めながら「まだかよ」と愚痴を零していた。

 鳥篭に入っておくだけ、というのもなかなか苦痛だ。

 することなんて何もないし、ぼぉーっと時間が過ぎるのを待つっていうのも暇だ。退屈だ。
 最初の内は、鳥篭の中で大暴れして鳥篭を壊そうと思ったのだが、この鳥篭、ウッパの魔法の力のせいなのか、とても頑丈だ。
 観念してアルス達を待つしかないと踏んだのだが、やっぱり暇だ。
 
 また一つ、大きな欠伸を零していると、ナーガから「呑気だぎゃー」とツッコまれた。

『欠伸なんてデキる状況じゃないのに、呑気だぎゃー』
『退屈だったら欠伸だって出るぜ?』
『それが呑気だって言ってるだぎゃー! もし、間に合わなかったら食べられちゃうんだぎゃ! あの食獣植物に!』
 
 ナーガが眠っている食獣植物を尻尾でさす。
 それはそうだが、まだ間に合わないと決まったわけでもないし。食べられる気も死ぬ気もないし。ラージャが大袈裟だと呆れた。しかしナーガはブルブルと身体を震わせていた。


『ラージャは恐くないんだぎゃ?!』
『アルスが絶対鍵持って来るって思ってるから、別に恐くないぜ?ただ、ベルトルと喧嘩してそうだからなぁ。時間は掛かるかもなぁ』

『一緒にいるフォルックが……スッゴク可哀想だぎゃ』

『まあなぁー。でも昨日みたいなド派手な喧嘩はしないだろうぜ。俺ちゃま達がいないから』
『そりゃそうぎゃけど……素手の殴り合いとかしそうだぎゃ』
『そうなったとしても、アルスがベルトルと喧嘩して負ける筈ないしな。心配なしだぜ』


『では、ベルトルさまが負けると仰るのですか?!』

 
 話に割って入ってきたのはジランダだった。
 キッと睨み付けてくるジランダにラージャは舌を出した。





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