020
マジックパウダーを廊下や適当に目に付く教室に振り撒いていくと、食堂付近でマジックパウダーが反応した。
フォルックの説明してくれたとおりだ。マジックパウダーを振り撒いた辺りに小さな足跡が浮き出たのだ。
食堂付近に反応があったということは、食堂いるのだろうか。
3人が食堂に入れば、1番隅のテーブルの上に使われた食器が見つかった。
あのクソジジイ、自分達から余裕で逃げられると思って此処で食事をしたようだ。
完全に舐められている。
「にゃー! あいつ、ふざけやがって!ムカツクにゃー!」
「余裕で食事するッ、イイ度胸だにゃ」
「あ、モジュの食べ残しに……魚があるにゃ」
フォルックが小さな独り言を呟く。
しかし2人の猫耳がピクピクと動き、しっかりとフォルックの独り言を聞いていた。モジュが使った食器の方に目をやれば、確かに食べ残しの魚のムニエルが。
ジーッと魚のムニエルを見つめ、3人は思わずゴクリと生唾を飲んでしまう。
「……ムニエル。魚」
「美味しそうにゃ。ちょっとぐらい……食べても、イイにゃよね」
「食べ残しだもんにゃ。少しぐらい」
刹那、アルスの脳裏に今朝オリアンが言った言葉が蘇った。
『あんた達の今後の運勢。今日一日、お魚が食べたくなる一日ねぇ』
サァーッと青くなり、アルスは魚のムニエルから目を逸らす。
オリアンの占いの一部、当たってしまった。
一日中というわけではないが、自分達は確かに“魚が食べたい”と思ってしまった。アルスは「絶対食べにゃいにゃー!」と身体ごと魚のムニエルに背を向ける。
「おりぇ、食わにゃいッ! 絶対に!」
「うううっ……でも、美味しそうだにゃー」
「食わにゃい! お前も食うにゃ!」
「でも」
「でもじゃないにゃ! 食うにゃ!」
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