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019


  
 相変わらず互いの猫耳が気になるが、そこを気にしていては何かが終わってしまいそうな為、3人はなるべく互いの顔を見ないようにした。
 それぞれ持っているマジックパウダーを少量振り撒いてモジュの行方を追う。さっさとベルトルが歩いて行くことに気付かず、ある程度の距離まで離れるとアルスとベルトルのブレスレットに電流が走った。


「にゃーッ?! イッダイにゃー!」

「ッー……きしゃま等、しゃっしゃと歩け!」

「お前がしゃっしゃと歩くからにゃろー!」


 うわぁ、喧嘩していてもネコの口調だと恐くない。
 幼児のような喧嘩だ、とフォルックは遠目で2人の喧嘩の様子を見ていた。

 2人も調子が狂うらしく直ぐにそっぽ向いてしまう。(しかも相手の猫耳に気持ち悪くなってしまうらしい。猫耳を見た瞬間、顔を思い切り歪めて嫌な顔を作っていた)
 フォルックは自分の両手首についているブレスレットを眺める。
 これはアルスとベルトルの髪の毛がウッパの魔法によってブレスレットに変えられたもの。何かあると、2人に電流が走るのは、2人の髪でこのブレスレットが作られているからだろう。
 

 でもどうして、自分の付いているブレスレットは2つ?
 どっちかがアルスの分で、どっちかがベルトルの分というのは分かるけれど。両腕を振っておもむろにブレスレットを揺らしてみる。
 
 すると、急にブレスレットが光り始めた。
 フォルックが驚いて手を止める。
 どうしようとあたふたしていると、前方を歩く2人が不自然に立ち止まっていた。


「ありぇ? どーしたのにゃー? 2人とも」


「か……身体、急に、動かなく」

「何故だにゃッ」

 
 急に身体が動かなくなったと2人が言う。
 どうしてだろう? とフォルックが小さく首を傾げれば、2人が真似してきた。

 ギョッとフォルックが後退りをすれば、2人も後退り。
 アルスが「勝手に身体が動くにゃー!」と叫んだ。フォルックは分かってしまった。今、2人は自分の動きを真似しているのだ。確かめるように右手で右頬を触れば、2人も真似してくる。
 冷汗を流してフォルックは心の中で叫んだ。


(ウッパ先生の言うとおり、スッゴク厄介だよー!)
 

 このブレスレットのせいで、自分達は翻弄されている!
 どうすれば解けるんだろう? とフォルックが先程と同じように、腕を振ってブレスレットを揺らした。

 再びブレスレットが光る。

 途端に2人は自由に動けるようになったらしく、自分の両手を見つめ「何なんだったんだにゃー?」と首を傾げた。誤魔化し笑いを浮かべながらフォルックは、「どうしてにゃろうね」と腕を後ろに隠す。
 自分達に忌まわしいブレスレットをつけた犯人のウッパは何がしたいのだろうか。
 もしかして、自分達を仲良くでもさせたいのだろうか。こんなことで仲良くなんてなれないと思うんだけど。
 
 



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あきゅろす。
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