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モジュ捕獲開始!


  

 ―――いつもの廊下、いつもの教室、いつもの校舎。


 けれど校舎に入ってみれば、確かに誰もいなかった。
 シーンと静まり返っている廊下を3人は徨っていた。その3人の様子も異様だった。
 アルスとベルトルはお互いに腕を組んでそっぽ向いており、その間にいるフォルックは小さくなっている。2人の険悪なムードに思わず涙ぐんでしまうフォルック。


 するとアルスが「頼むから泣くなよ」と宥めた。


「さっきお前が泣いてエライ目にあったんだからな」
「ううっ、仕方ないじゃん……僕のせいじゃないよ」
「とにかく頼むって。マジ痛いんだって。これ」

 フォルックは努力するとブツブツと口ごもる。
 会話が途切れ再び重々しい沈黙が訪れた。

 3人の耳に聞こえてくるのは、廊下に響き渡る自分達の靴音のみ。
 痛いほど沈黙に、とうとうフォルックが堪えられなくなり2人に意を決して話し掛ける。


「あ、あ、あのね。2人とも。適当に歩いていても、何も解決しないと思うんだけど。モジュを捕まえる対策とか考えないと」

「けど、どうやってモジュを探すんだよ。何の手掛かりも無いんだぜ?」

「……モジュは、確か小人だよね」

 
 フォルックが自分の知識をページを捲り始める。
 小人に関与する知識をありったけ振り絞り、何か手掛かりになりそうなモノを探した。ブツブツと呟き、顎に指を絡めて考えているフォルックに、ベルトルが怪訝な顔をした。
 
 しかしアルスは何も言わない。
 こういう時のフォルックは結構頼りになる。泣き虫毛虫なフォルックの持つ頭の中に蓄積された知識は、自分では到底敵わないような知識が詰まっているのだから。
 ハッとフォルックが手を叩いた。


「小人って妖精の一種でしょ。だったらマジックパウダーを使えば、追跡デキるんじゃないかな?」


 マジックパウダー。

 聞きなれない単語にアルスとベルトルが足を止めて、フォルックの方を見た。
 フォルックは“マジックパウダー”を2人に説明する。

 マジックパウダーとは妖精から取り出された魔力を粉にしたもので、主に魔法具を作る時に使われるものだそうだ。そのマジックパウダーは元々、妖精の魔力から取り出し作られたもの。妖精の魔力には反応するのだ。
 
「マジックパウダーを適当に撒くんだ。もしも、近くにいたらマジックパウダーは反応する筈だよ。反応が無かったら、そこ付近にモジュはいないことになるんだ」
「へえ、そんなのがあるんだな」
「……マジックパウダーとやらは何処にある?」

 珍しくベルトルが話に参加する。
 フォルックはウーンと小さく唸って学校の何処にありそうか考える。

「そうだね。理科室。もしくは理科準備室にあるんじゃないかな? 実験とかでもちょこちょこ使うヤツだし」
「理科室。もしくは理科準備室か」
「行ってみるか? 時間も限られてるしよ」
 
 マジックパウダーを使ってみることの他に方法も無さそうだ。
 3人は誰もいない廊下を歩き、理科室へと向かった。
 理科室に到着した3人は何の躊躇も無く理科室に足を踏み入れる。しかし、足は直ぐに止まってしまった。



 何故ならば……。
 





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