011
「ダメですよぉ〜。無理やり取ろうとすると、電流が流れちゃいますよぉ? アルスくんが取ろうとすれば、ベルトルくんと一緒に電流ビリビリ。ベルトルくんが取ろうとすれば、アルスくんと一緒に電流ビリビリ。フォルックくんが取ろうとすれば、アルスくんとベルトルくん仲良くビリビリですからぁ」
誰かがブレスレットを取ろうとすれば、アルスとベルトルのブレスレットから電流が流れると説明する。
「何だそりゃ!」アルスが素っ頓狂な声を上げ、ベルトルが盛大な舌打ちをする。
フォルックは自分だけ電流が流れないことに安堵するべきなのか、後ろめたい気持ちになればいいのか分からず、自分の両手首に嵌められているブレスレットに目を落とすことにした。
更にウッパは、小さく杖で床を叩き目の前に鳥篭を召喚した。
三つの鳥篭を召喚すると、杖を前に翳す。
宙に浮いている鳥篭はウッパの命令でサッと姿を消えてしまった。
3人が警戒心を抱いていると、鳥篭が目の前に突然現れ、机に乗っているそれぞれのパートナードラゴンを捕らえてしまう。
何の前触れも無く閉じ込められた3匹が鳴き声を上げ驚いている中、ウッパが鳥篭に命令して自分のもとに戻るよう杖を振った。鳥篭は素直にウッパのもとへと戻る。3匹を閉じ込めたまま。
『突然何だよ! 出せっつーの!』
「ラージャ!」
『こ、ここここ此処から出せだぎゃー!』
「ああっ! ナーガ!」
『ベルトルさまッ』
「貴様ッ……何のつもりだ!」
変なブレスレットを付けられた上に、パートナードラゴンを取られるなんて。
これには堪らず3人が立ち上がり、ウッパを見据える。ギュナッシュと共にウッパは細く笑い「特別授業です」と3人に言い放つと、大きく杖を振った。
すると景色が一変する。
今の今まで教室にいた筈なのに、いつの間にか校舎の外と3人はウッパ達と立っていた。
3人が辺りを見回している中、ウッパが「ら〜るる〜」と奇妙奇怪なメロディーを口ずさんで3人を注目させた。
「授業を始めますですよぉ〜。これから、貴方達はぁ、モジュを協力して捕まえて下さい」
「協力だと?」
あからさま嫌そうな顔を作るベルトルに対し、ウッパは笑顔で頷いた。
モジュを捕まえ、モジュの持っている鍵を手に入れる。鍵はパートナードラゴンを助ける為の鳥篭の鍵。手に入れたら、パートナードラゴンのところに向かい、パートナードラゴンを救出する。
モジュが逃げる範囲は校舎内のみ。
制限時間は日が暮れてしまうまで。
3人で仲良く協力してモジュを捕まえて、パートナードラゴンを助けることがデキたら、今日の授業は合格だとウッパが微笑む。
冗談じゃないと3人は思った。
ただでさえ、自分達の仲は最悪だというのに、仲良く協力して小人のモジュを捕まえるなんて。
追い討ちをかけるようにウッパが杖を振って説明を続ける。
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