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「グッドモーニング! 呼ばれて飛びてドドドドーン! なのじゃ!」

  
 今の教室の状況を効果音で表わすなら……シーンとシラ〜。
 老人のハイテンションなノリに3人はシラける他なかった。シラけている3人に対し、老人は両手を腰に当て呆れてくる。


「何じゃ。若いクセにノリの悪い奴等じゃな。此処は拍手か笑いが起こるところじゃぞ。全く、最近の若い奴等はッ、フガッ!」

「無駄口叩くんじゃありませ〜んよぉ。モジュ」

 
 モジュと呼ばれた小人を容赦なく杖で叩き、そのまま教卓の上から叩き落とす。
 ウッパのあんまりな仕打ちに思わず同情せずにはいられない。
 床に転がったモジュはどうにか立ち上がると「ノッケからあんまりじゃぞ!」「もっと老人を労わるべきじゃ!」「苛めと暴力反対!」等々、抗議の声を上げている。

 しかしウッパと視線がかち合えば、電流が走ったように背筋が伸び、ピシッと敬礼をして「失礼しました!」と態度を改める。
 取り敢えず、今の状況で分かるのは、このモジュという小人はウッパに逆らえないということだ。


 ウッパはモジュを見下ろしてニッコリ笑う。


「モジュ。やること、分かってるですよねぇ〜?」
「わ、分かっておるぞ!」
「ならイイんですけどぉ〜。では、いきますかー」
 
 3人の方に向かって杖を軽く前に翳してくる。
 刹那、アルスとベルトルが小さな悲鳴を上げた。頭を軽く押さえている2人にフォルックが、目を丸くして両脇にいる2人を交互に見やる。どうしたのかと訊ねれば、アルスが「髪の毛抜かれた。しかも2本同時に」と頭を擦りながらフォルックに教える。ベルトルも同じらしい。軽くウッパを睨んで頭を擦っている。ウッパは貼り付けた笑みを崩すことなく、そのまま杖を軽く振った。

 今度はフォルックの前に、先程抜かれた2人の髪が現れる。

 驚くフォルックに構うことなく、ウッパは杖を振る。
 瞬く間に髪の毛が目映く光りブレスレットと変わった。そのブレスレットはフォルックの手首に巻きついてきた。
 

「な、何これ!」
 

 フォルックが慌てて、ブレスレットを無理やり取ろうとする。
 するとアルスとベルトルがまた小さな悲鳴を上げた。フォルックが2人を交互に見ると、お互い片手首を押えて悶絶している。
 首を傾げてフォルックがもう1度、ブレスレットを取ろうとすると2人して「痛ッ!」と悲鳴を上げる。慌ててフォルックがブレスレットを取ることヤメた。アルスとベルトルの片手首には、フォルックと同じようにブレスレットがついている。
 痛みで涙目になりながらアルスがブレスレットを見つめる。

「何だよ。これっ……メチャメチャ痺れたんだけど」
「そ〜でしょね〜」
「チッ、外せ」
 
 ベルトルがウッパを睨むが、臆することなく満面の笑顔を浮かべた。
 癇に障ったベルトルは自力でブレスレットを取ろうとすれば、ブレスレットから電流が流れた。
 アルスの手首についているブレスレットにも流れたようで、2人仲良く痛みで悶絶することになる。





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あきゅろす。
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