[携帯モード] [URL送信]
特別授業


   
 学校が始まることを全校生徒に知らせる呼び鈴の心地良い鐘が、学校中に響き渡る。
 まだ学校の外にいた生徒達、廊下を歩いていた生徒は鐘の音を聞いて駆け足で、それぞれの教室へ向かっていた。
 慌てる生徒達と何人も擦れ違いながらギュナッシュが、自分の受け持っているクラスへと向かう。何の躊躇も無く、自分の受け持っているクラスのいる教室のドアを開け、ギュナッシュがいつものようにクラスメートに挨拶をした。


「おはようございます。皆さん……あれ? なんで、アルスくんとフォルックくん。そんなに疲れた顔をしてるのかな?」

「いえ……なんでも、アリマセン」
「いつもどーり元気です。俺達」


 全く元気そうに見えないのだが。
 グッタリと机に伏している2人に、ギュナッシュが首を傾げた。

 ベルトルだけは至っていつもどおりだ。
 アルスやフォルックの様子を見ていると、喧嘩をしたという雰囲気でも無さそうだ。

 喧嘩していないのならば良いけれど、授業前からそんなにグッタリとされても、それはそれで困る。特にこれから行う授業は、いつもの10倍疲れるのだから。
 教卓に着くと出席簿にチェックを付け、ギュナッシュは3人の方を見るとコホンと咳払いした。


「えーっと。早速なのですが、授業を始めようと思います。本来ならば、今から『ドラゴン保育』の授業をするところなんだけど、本日はちょっと別の授業をしたいと思います」

「別の授業ですか?」

 
 顔を上げてフォルックがギュナッシュに聞き返す。
 ギュナッシュはニッコリと笑顔で頷いた。その笑顔にベルトルは眉を顰める。ギュナッシュの笑顔の裏に何かが隠されている。ベルトルの勘がそう働いていた。そしてそれは見事に当たっていた。

 ギュナッシュは「今日は特別授業をします」と手を叩いて、3人に笑顔を向ける。

「でも授業をするのは僕じゃないので。最初に言っておくよ」
「へ? じゃあ、誰がするんっすか?」
「今回は僕の友人に講義をしてもらおうと思うんだ。きっと面白い授業をしてくれると思うよ。9時にこっちに来るよう言ってるから、そろそろやって来るよ」





[*前へ][次へ#]

7/22ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!