特別授業
学校が始まることを全校生徒に知らせる呼び鈴の心地良い鐘が、学校中に響き渡る。
まだ学校の外にいた生徒達、廊下を歩いていた生徒は鐘の音を聞いて駆け足で、それぞれの教室へ向かっていた。
慌てる生徒達と何人も擦れ違いながらギュナッシュが、自分の受け持っているクラスへと向かう。何の躊躇も無く、自分の受け持っているクラスのいる教室のドアを開け、ギュナッシュがいつものようにクラスメートに挨拶をした。
「おはようございます。皆さん……あれ? なんで、アルスくんとフォルックくん。そんなに疲れた顔をしてるのかな?」
「いえ……なんでも、アリマセン」
「いつもどーり元気です。俺達」
全く元気そうに見えないのだが。
グッタリと机に伏している2人に、ギュナッシュが首を傾げた。
ベルトルだけは至っていつもどおりだ。
アルスやフォルックの様子を見ていると、喧嘩をしたという雰囲気でも無さそうだ。
喧嘩していないのならば良いけれど、授業前からそんなにグッタリとされても、それはそれで困る。特にこれから行う授業は、いつもの10倍疲れるのだから。
教卓に着くと出席簿にチェックを付け、ギュナッシュは3人の方を見るとコホンと咳払いした。
「えーっと。早速なのですが、授業を始めようと思います。本来ならば、今から『ドラゴン保育』の授業をするところなんだけど、本日はちょっと別の授業をしたいと思います」
「別の授業ですか?」
顔を上げてフォルックがギュナッシュに聞き返す。
ギュナッシュはニッコリと笑顔で頷いた。その笑顔にベルトルは眉を顰める。ギュナッシュの笑顔の裏に何かが隠されている。ベルトルの勘がそう働いていた。そしてそれは見事に当たっていた。
ギュナッシュは「今日は特別授業をします」と手を叩いて、3人に笑顔を向ける。
「でも授業をするのは僕じゃないので。最初に言っておくよ」
「へ? じゃあ、誰がするんっすか?」
「今回は僕の友人に講義をしてもらおうと思うんだ。きっと面白い授業をしてくれると思うよ。9時にこっちに来るよう言ってるから、そろそろやって来るよ」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!