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003



 全員がクジを引き終わると、担任が解散と言う。その声と同時に、一斉に皆クジを見た。

「うわああっ、俺っ、俺……『鍛冶屋』だってっ」
「私、『兵士』……うわああ! ヤッダー!」
「あたしなんて、『踊り子』よ! どうしろって?!」

 殆ど教室には悲鳴しか聞こえなかった。皆の様子を見て、アルスは眉を顰める。見るのが余計恐くなった。
 親友のフォルックがアルスに駆け寄って来た。


 「どうだった?!」涙目でアルスを見る。
 
 
「ぼ、ぼぼぼ僕! 『ドラゴン使い』だったんだ! どーしようっ。アルスは見た?」
「ま、まだ見てねぇよ。恐ぇし」
「一緒に『ドラゴン使い』になってよ! っ、僕ひとりじゃ、恐いって!」
「ンなこと言ってもよ。良かったじゃねえか。魔術師の仲間だぜ?」


 『ドラゴン使い』とは、ドラゴンを扱う魔術師のことだ。


 凶暴なドラゴンを扱うということで不人気な職業だが、ドラゴンを手懐ければ、相当名誉ある魔術師になる。
 手懐けるまでが大変らしいが。

 フォルックは無理だよっ、とワンワン泣き始めた。
 弱気な親友にとっては『ドラゴン使い』は厳しいだろう。

 でも、デキれば自分も『ドラゴン使い』にはなりたくない。
 気の毒だと親友に心の中で合掌する。手中にある紙を握りしめて、深呼吸をした。


 自分は何だろうか。『賢者』か『武器屋』か、はたまた『兵士』か。


 この国は兵士になる確率が、とても高い。
 現に男女関係なくクラスメイトの半分が『兵士』になっているようだった。
 クラスで1番の美女と言われているユレーシャという女の子でさえ『兵士』になったようだ。不運極まりない。





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