くじ引き運命
―――この国の法律は間違っているというか、おかしいと思う。
法律に不満があるのは、たったひとつだけ。
そのひとつにこの国の法律はおかしいと不信感を抱いてしまうのは、自分だけではないだろう。
隣の席に座っている奴とか、後ろに座っている奴とか。
この国の法律におかしいと思わずにはいられない筈。
それとも、自分だけ? こんなに不信感を抱いているのは。
いや、少なくとも、自分のダチは不信感というか、不満というか。そういうものを持っていることを知っている。
机の上に出している教科書を眺めながら、大きく溜息をついた。
胃がキリキリと痛む。この痛みは、この国の法律のせいだ。
しかも本日、この国の法律の厄がクラスメイトだけではなく、学校にいる同級生達に降り注ぐ。
右隣に座っているを一瞥すれば、右隣の奴は顔が真っ青だし左隣を見れば左隣の奴は神に祈りを捧げている。
やめてくれ。
こっちだって、カミサマにでも祈りたい気分なんだから。
今日、家を出てくるときの親の顔。本当に心配そうだった。
この国の先代の馬鹿王が、決めた法律にムカムカしていると、担任の教師が教卓の前に立ち咳払いをする。
神妙な面持ちを作っている担任の手には、大きな箱。中身は紙切れしか入っていない。皆、それを知っている。
「皆さん、おはようございます。とうとう、今日という日がやってきてしまいました」
クラスメイトが息を呑む。
担任もまた、大きく溜息をついて、刹那大声で言った。
「さあ! 人生の進路を決めるクジ引きをしましょう!」
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