018
『ジランダは、世界で一番の幸せ者です。この身が朽ちるまで、貴方様に尽くして生きたい』
誰よりもだれよりもベルトルの見合うドラゴンになりたい、他の誰でもない、だれよりも自分が。
ジランダは胸の内を明かし、ゆっくりと身を丸くする。「尽くすんじゃなく…」寄り添っていたぬくもりが消え、寝返りが打たれる。瞼を持ち上げれば、知らず知らず零れる雫を拭い、薄暗い闇の中、ベルトルはぎこちない手付きで頭を撫でて言ってくれる。
「支えてくれ。俺だって間違いを犯す…、その時はお前の支えが必要だ。俺もまたお前を支えられるよう、努力するから。苦難もお前となら、きっと乗り越えられる。そんな気がする」
不器用な手付きと優しさ、そのぬくもりに、雫を零しながらジランダは綻び、自分からパートナーに寄り添う。
「明日は【マカ】の練習をしないとな」
不調をどうにかしないといけない。
「練習に付き合ってくれるか」ベルトルの問い掛けに頷き、ジランダは眠りに就く。その際、ジランダは告げるのだ。今日の礼と、大好きな主人、いや、パートナーに。おこがましいのではないかと怖じていた、その言葉を。
『今日は助けてくれてありがとうございました。どうぞこのジランダを、明日もあさってもずっと、ずっと、お傍に置いて下さいね』
不器用なパートナーは一言、「離れる予定があるのか?」素っ気無く、でも優しく返してくれた。
パートナーの精一杯の優しさだと、ジランダは勿論、気付いている。
End
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