007
「ジャンケンで遊ぼうよよよん! お金も要らないし、労力も使わない、手だけ使ってシンプルだしょー?」
「ジャンケン?」俺達は声を揃えて聞き返した。ワタルさんは我ながら良い案だとニヤついている。
ジャンケンで遊ぶって、ワタルさん…、あのジャンケン?
グー、チョキ、パーで勝敗を決めるあのジャンケンで遊ぶって? 高校生にもなった俺達がそれで楽しく遊べるかなぁ。
だってジャンケンだぜ、ジャンケン。今時の子供だって直ぐ飽きる遊び(っていえるのかな?)だぞ。お金も労力も使わないけど楽しめるか?
でもそこはワタルさん。
ただのジャンケンじゃなかった。
その名も条件&罰付きジャンケンゲーム。最初に勝つための条件と罰を決めてジャンケンをする。それで負けた人は罰を受ける。と、なんとも恐ろしいジャンケンゲームをワタルさんは提案してきた。
俺は勿論、そんなゲーム嫌だった。
だってどんな罰ゲームを受けさせられるか分からないじゃないか! 下手すれば、暫くはみんなに顔を合わせられない罰ゲームになりそうっ。同じことをモトやココロを思ったみたいで、嫌々な顔を見せる。
だけどワタルさんは俄然やる気に乗り気。
残念なことに、この面子じゃワタルさんを止められる人はいない。仕方がなく、俺達は条件&罰付きジャンケンゲームをすることになった。
「じゃあ最初の条件は普通に負けた人が負けでいこー! 罰ゲームは順序よく決めていこっかぁ。じゃあ最初はモトちゃーんから決めて」
「お、オレっすか?!」
「僕ちゃーんばっか決めてもおもろくないっしょ?」
ノッケから罰を決めなきゃいけなくなったモトは困り果てた顔を作った。俺やココロに救いを求める視線を送ってくる。
そ…、そんな目で見られても、俺達じゃお前を救えないっ、ごめんモト! 潔く罰ゲームの内容を決めてくれ! あと出来れば軽い内容にしてくれ!
ワタルさんに急かされたモトは目を泳がせ、必死に罰ゲーム内容を考える。そして出した罰ゲームは、
「じゃあ…、知ってる面子に恋人まがいな台詞をノリノリで言う」
マジかよ、モトっ。
そりゃ辛いぜ。初っ端から辛い罰ゲームだぜ! 普通はさ、歌を歌うとか、変顔をするとか、まだマシな罰ゲームあっただろ!
「お、いいねぇ。面白いじゃんこ! それにちょっと色を付けて、『貴方のことを信じてたのに。馬鹿、えっちい!』みたいな恋人まがい台詞を言うにしよんねんころりん! あ、男は響子ちゃーん、もしくは男に言わなきゃ駄目だよん? 面白くしなくっちゃねー? ココロちゃーんは男の方が面白いだろうから、男でいってみよー!」
嘘だろっ。
響子さんは根っからそういう下ネタ系統は嫌いだし、男に言うなんて冗談クソ喰らえだろ! ドン引かれるぜっ! 嫌だっ、絶対に勝ちたいっ!
「んじゃいこう! 最初はグー。ジャーンケーン」
ポン。
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