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012


 
 そう笑うケイは、俺達との付き合いもちゃーんと考えていたようだ。
 楽しいって思ってくれているということは、ケイ、これからもちゃんと俺等と付き合う気があるらしい。スッゲェホッとしたってのは俺だけの内緒だな。
 

「それにしてもさ、ヨウと一緒にアニメ観る日が来るなんて思わなかったよ。ヨウと語れるなんて不思議な感じだ。ヨウ、イケメンの不良くんだし」

「どんな存在だって思ってるんだよ。テメェの中の俺って」

「喧嘩スキーで洋楽スキー。アニメやゲームには一切縁の無い不良だって思ってました、俺」
 

 だから不思議な感じだよ、マジで。

 でも悪くはないや。寧ろ嬉しかったりするんだ、こういう風に仲の良い奴と気兼ねなく喋れるって。俺さ、今だから言えるけどアニメ見るって暴露したらヨウに引かれるんじゃないかって思ってたんだ。蔑視するまではないとしても、なんとなく、な。
 
 
「俺に付き合ってくれてサンキュ」


 ケイが不要なお礼を言ってきやがる。

 べつに、俺は付き合い、で、確かにアニメを見てるけど、でも、無理しているわけじゃない。そりゃ最初こそ見なきゃいけない義務感に駆られていた。だけど今はフツーにハマッてるし、ケイの好きなことが知れた。それだけでも儲け物だって思うぜ、俺は。
 
 たまにはケイの好きな事に付き合わないと、それこそ。

「倦怠期に入っちまうしな」

「また出た。お前さ、倦怠期、倦怠期ってよく口走るけど。一体それ、どういう意味だ? お前がそれを言う度に、ワタルさん達が笑ってくるし」

「倦怠期は倦怠期だっつーの。舎兄弟は倦怠期だったんだ」


「意味わっかんねぇけど…、俺、お前との仲を倦怠期って思ってねぇよ? ヨウいねぇとツマンナイしさ。なに、ヨウはツマンネェ時期に入ってるのか?」
 
 
 ぷしゅっ、プルタブに指を引っ掛けて蓋を開けるケイを一瞥。
 ぷしゅっ、俺もプルタブに指を引っ掛けて蓋を開けると一笑を零す。


「―――…調子ノリがいるんだ、ツマンネェわけねぇだろ? 俺は舎弟を作ってマジ良かったって思ってるくれぇ、毎日が愉快だ。解消なんて真っ平ご免だって思うほどにさ」





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あきゅろす。
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