そうして僕等は理解し合う
「―――…うっわぁあ。スッゲー、ヨウの家って広いんだな。部屋綺麗だ」
後日。
舎弟のおかげさまですっかりアニメにハマッた俺は、連日シーズンを見続けてケイと同じシーズンまで辿り着く。
丁度シーズン6を見ようとしていたケイと俺、だけどレンタル店にはシリーズ一巻につき一枚しか置いていない。だからどっちかが借りて見ようって話になったわけだ。
今回は俺がDVDを借りて、家にケイを呼んだ。
今日は親父もお袋もいないんだ。義姉のひとみ姉も京都旅行に行っているから、気兼ねなくケイを呼ぶことができた。いつも世話になっているお礼を兼ねて、今日はケイ、家に泊まる予定だ。
泊まりに誘われたケイは、最初こそ驚いていたけどすぐに「行く!」と返事をくれた。
んでもって手土産持参(中身はドラ焼きだった)で、俺の家を訪れている。肩に掛けていたスポーツバックを床に下ろし、「広いんだな」興味津々でリビングを眺めるケイだけど、俺的には殺風景なリビングそのものだ。ケイの家と違って寒々していると思う。
その証拠に夕飯はファーストフードだったしな。
外食で夕飯を済ませた俺達は、早速DVD観賞…の、前に。
「ケイ。今日は飲みに付き合えよ」
冷蔵庫から缶ビールを取り出した俺は、ケイに飲酒の誘いをする。
ずっと飲み会を断っていたケイだが、今日はぜってぇ逃がさないからな。だって泊まるんだし? ケイが断ろうと、「ヨウ。俺、ビールじゃなくてチューハイがいい」……、断らなかったな。斜め上の返答だ。
「チューハイ? あー、甘ったるい桃しかねぇぞ?」
「それでいいよ。俺、ビールって味的に駄目なんだって。苦いの無理ムリ」
ガキかよ、テメェは。
笑いながら俺は冷蔵庫からチューハイを取り出して、ソファーに腰掛けている舎弟に手渡す。「これなら飲める」笑うケイの隣に腰掛けて、リモコンを操作しながら俺はさり気なく聞く。「テメェって飲み会断ってくれてたよな」と。
そしたらケイ、「だって親にバレるだろ?」あっけらん顔で答えた。
「母さんにバレたら、めっちゃ怖いんだって。飲酒なんて早々できるもんじゃないし」
なるほどな、確かにケイのおばちゃんって優しいけど根が真面目そうだ。
「誘われて嬉しかったけど、バレた時の飲酒の弁解が思い浮かばなかったし。飲酒の経験もそんなにないから、どれだけ飲んだら酔うのか予想もつかないから断ってたんだ。楽しそうだって思ってたんだけどな」
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