008
途端にケイは吃驚仰天。
持っていたDVDを落としそうになりながら、「え。あ。お?!」奇妙な奇声と共にバッと振り返ってくる。んで、「ヨ、ヨォオウじゃんか!」チョーどもってきた。なんだよ、俺がいちゃ悪いってか?
眉を軽くつり上げる俺に、「なんか借りに来たのか?」奇遇だな、俺もDVDを借りようとしているんだ、と目を泳がせている。
「借りるって、そのテメェが持ってるアニメか?」
「え゛。あぁああ、えぇえっと…、ははっ、あー…これは浩介が…な。ハマッていて」
「へえ。じゃあさっきシーズンがどうのこうのって言ってたのは?」
「いや、それはその」
「すっ飛ばすかどうかで悩んでいたのは?」
「う゛っ…、白状します。俺がハマッてるんですはい」
うっわぁ、ヨウには知られたくなかったのになぁ。
ケイはガックシ肩を落として、DVDに目を落としていた。なんで俺に知られたくなかったんだよ。べつ俺はテメェがアニメにハマろうが、なに見ようがどうも思わないっつーの。
だけどケイは「ヨウはこんなの見ないだろ?」と、DVDケースを見せてくる。なんかわっかんねぇけど、あーロボットモノか? それ。
アニメとか全然見ないから分からないけど、まさしくロボットモノっぽいな。
「最近ジミニャーノの間でこれがブームでさ。おススメだって言ってたから、ちょっと見てみようかなー…って思って。そしたらどっぷりハマッたんだ。
元々俺、アニメをよく見る人間だったんだ。でもヨウ、こういうの見なさそうだし。ハマッてるってこと、なんか知られたくなかったんだよ。恥ずかしいってわけじゃないんだけど、なんか言いづらかったっつーかなんっつーか」
「てことは何か? 誘いを断っていたのは」
「アニメ充に勤しんでいました。スンマソ、兄貴!」
……倦怠期じゃあなかったわけか、なんか安心。
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