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007


  
 放課後、ケイは今日も俺の誘いを断りやがった。

 ゲーセンまでは一緒に来てくれたんだけど、「ごめん!」両手を合わせてなんだか申し訳無さそうにしつつ、どっか急いだ様子でチャリを飛ばし、そそくさと退散。
 しかもその際、丁度鉢合わせたモトになにやら耳打ち。っていうのも、モト自身も付き合いの悪いケイに思う事があって意見したらしい。俺達の見ていないところでヤンヤン言ったみたいだ。ケイは決まり悪そうに微苦笑を零して、「まあモトならいっか」と耳打ち。

 俺はこっそりバッチシ見ちまったわけだけど、気だるそうに聞いていたモトは、見る見る目を輝かせ「知ってるに決まってるだろ!」大興奮していた。

「ケイっ、アンタあれにハマッてるのか!」

「そうなんだよ。もうちょっとで制覇できるんだっ…、な、俺が断る理由、分かってくれるだろ? なにせあれ、シーズン5まであるからさ。どうしても時間が惜しくて。今やーっとシーズン4を見終わったところなんだよ! 早くテレビであっているシーズン6に追いつきたいしさ」

「あれはオレもハマッてる! やばいもんな! てか、ケイ、今頃ハマッたのかよ。おっせぇな!」

「うぐっ…、だ、だってしょーがないだろ! ずっと見逃していたんだから!」

「今度ゲームも出るんだぜ、知ってるか!」

「知ってるんだぜ! あれ、買う予定なんだっ! モト、その時は俺と語ってくれよ、一緒にしてくれよ、俺と燃えてくれよ!」


「その誘い乗った! 早くシーズン6に追いつけよ!」


 ……、モトに言えるってどういうことだ畜生。


 また敗北感と焦燥感だぞ、コノヤロウ。ついでに疎外感も感じるぞ、阿呆。
  
 「倦怠期めっ」こっちがアクションを起こす前に逃げやがって、なんだか腹立たしくなった俺は地団太を踏んで現状にやきもき。不安を通り越して、倦怠期に怒りを覚えてしまうのは俺の我が儘か? クソがっ、めっちゃモヤモヤする!
 むすくれる俺に、「ヘソを曲げたの?」ハジメが苦笑いを零していたという。うーっせぇ、突っ返す俺だけどご名答だ。完璧にヘソを曲げていました。
 
 見かねたモトが理由を教えてくれようとしたけど、俺は聞かずにしておく。
 なんか負けた気ィするじゃんかよ。テメェで聞きてぇって気持ちがあるし。


 結局モヤモヤだけが残っていたわけだけど、俺はその日の暮夜、ケイと再会する。


 場所はレンタルビデオ店。
 たまたま通り掛った店前にケイのチャリが止めてあって、ついそっちに足を向けちまったんだ。店内に入って一階のCDエリアを探し、二階のDVDエリアに上がると、ケイはとある一角コーナーで腕組みをしていた。


「どうする。シーズン5をすっ飛ばして、先にシーズン6のDVD化されているところまで見るか、それとも順に見ていくか」
 

 ……ケイの奴、アニメコーナーで何してやがるんだ?

 DVDケースから中身を抜き取ってはそれと睨めっこしているケイに、「なあ」と声を掛ける。





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あきゅろす。
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