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その名も罰ゲーム


 
 ◇ ◇ ◇
 
 
 馬鹿なことしたなぁ…って思うだろ? うん、俺も思ってるよ。スッゲェ、馬鹿なことした! 泣きたいくらい馬鹿しちまった! 
 でもなでもな、ちゃーんとワケがあるんだ。じゃなきゃヨウに悪戯なんて命知らずなことしねぇって! あんな阿呆なことも言わないって! そりゃー…、ちょっとノッてたとは思うけど、でも普段の俺だったら絶対あんな阿呆なこと言わない。言えないから!


 説明や弁解したいこと色々あるけど、今はヨウを撒く方が先!


 俺は残り半分くらいある階段から一気に飛び下りた。
 綺麗に着地したけど、足が、足がイタッ…とか思ってる場合じゃない! 俺は慌てて駆け出した。上靴が脱げそうになったけど、構ってる場合じゃない。背後から駆け足の音が聞こえてくるんだからさぁ!

 後ろを振り返れば、うわっ、おっそろしい顔したイケメン不良くんがいるっ。
 
「ヨーウ! 怒った顔もイケてるってところが羨ましいぞ! 俺もイケメンの美形に生まれたかった!」
「フッザけんな!」
 
「今のは茶化してるんじゃないっ、純粋に褒めてるんだってッ、あーっ、シンドー!」
  
 あがる息を無視して、今度は階段を一気に駆け上る。これがまたシンドイけど、捕まるよりかはマシだ!
 自分の教室のある階に戻った俺は近くの教室に逃げ込んだ。こういう場合、教室を有効活用しなきゃな! その教室にいる人たちから「何コイツ」みたいな目で見られても、ヨウに捕まるよりかは断然マシだ!
 教室に入った俺は出入り口傍の四隅に身を隠す。ヨウが教室に飛び込んできた。「クソッ、何処行きやがった!」後姿しか見えないけどヨウは俺と同じように息があがっている。

 いやぁ、平凡男子を必死に追っちゃって…ご苦労様、ヨウ。

 心の中で両手を合わせながら、そろそろーっと教室を出る。ヨウはまだ教室に目を配っていた。 
 よしっ! 気付かれず、このまま、
 
 
「っ、ぶっ!」
 
 
 余所見をしていたせいか、誰かにぶつかった。何気に鼻打って痛ぇんだけど!
  
 
「おい、ゴラァ。何様でこの俺にぶつかってるんだゴラァア」


 ………。

 あっらぁー…、聞き覚えのあるお声。

 恐る恐る視線を上げれば、出た! ゆでダコ色の髪を持った根性モン不良。名前はタコ沢元気! 今日もスッバラシイ青筋を何本か立ててらっしゃいますね、ほんと。
 ……何でお前、こういう忙しい時に現れるんだよ。俺、お前の相手をしてるほど暇じゃないんだけど! いや、ぶつかったのは俺。だから俺が悪いんだけどさ!


「ごめんごめん。タコ沢。俺、余所見してて。ほんとごめん、じゃ!」

「俺はタコ沢じゃねええ! 谷沢元気だぁあああ!」


 あああああっ! お前はまた、そんなデッカイ声を出す!




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