005
珍しくも頼もしい助言してくるワタルに(口調変わりやがったし)、俺はアルコールの回った脳みそで思案。
それもそうだ。
なにかアクションを起こさないと、馬鹿な俺はぐーるぐる考え続けるだろうし。無い脳みそで考えても、結局何もでないわけだし。
「アクションねぇ」俺は思い立って、携帯を取り出すとアドレス帳を呼び出して電話番号を表記。ボタンを押して耳に当てる。数回のコールが流れた後、『はーい』能天気な声音が聞こえた。
そんな能天気くんに俺は開口一番に言う。
「ケイ。テメェ、自然解消しようとしたってそうはいかねぇからな。いいか覚えとけ」
『……、ヨウ。今、俺に日本語を言ったってのは分かるんだけど、意味が伝わってない。伝わってないから』
ぶふっ、三つの笑声が押し殺される。
俺はといえば、
「だから破局を狙おうったってそうは問屋が卸さないって言いたいんだよ。いいか、俺達は倦怠期に入っていると考えるぞ。俺達舎兄弟は今、倦怠期だ。お互いにダルイ気持ちになりゃあ、自然破局も狙うわけで」
『えぇえ、なにそのカレカノ的なノリ。お前酔ってるのか? そうだろ、そうなんだろ?!』
「酔っている酔ってないの問題じゃねえ。俺達は今、危機を迎えているわけだ。けど俺は屈しねぇ。覚えとけよ、ケイ。自然解消なんざ俺、認めねぇからな!」
笑声が爆発、本日何度目かの大爆笑が生まれた。
「アクションってそれ?!」ハジメが体を折り、「直球過ぎる…」シズは菓子を食べながら、「サイッコー!」ワタルは呼吸困難寸前で文字通り大爆笑してくれる。
けど俺は本気も本気。酔った勢いでケイに宣言する。倦怠期を打破するぞ、と。
ちなみに電話向こうのケイは、
「……。ヨウの奴、相当飲んだくれてるな。なんだよ倦怠期って」
当然、困惑していたという。
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