004
肯定されると、多分俺はヘコんじまうと思う。
それだけ俺の中で舎弟の存在はデケェんだ。あいつの中での俺の存在ってどうなんだろ? 聞くのが幾分怖い。
新たなビール缶のプルタブに指を引っ掛けた俺は、物思いに耽りながら中身を飲むために開封。口元に飲み口を持っていく。
「また乙女モード?」噴き出しそうになるワタルは、テーブルに頬杖ついて昔の自分のことを気にしてるんでしょ、と心情を見透かしてくる。
「ヨウちゃーん、最初こそケイちゃーんをノリで舎兄弟にしたし。ツマンナかったら解消予定だったもんねんころり」
「うっわぁ、ヨウ。それケイに同情するんだけど」
言うなハジメ、俺も自分で馬鹿だったと思ってるっつーの。
「…ふぁ〜…、まあ、お前らしいっちゃお前らしいが」
そりゃどういう意味だ、シズ。
しかめっ面を作る俺に、「なるほどね」自己嫌悪してるわけだ、とハジメは一笑。
「ケイっておとなしいタイプだから、僕も元々そっちだったから…、なんとなくヨウの考えていることは分かるよ」
ケイって確かに僕達に一線引くことが多いよね。
なにかとおとなしい子達とつるんでいるし。そっちの方が気が置けないっていうか、素の自分でいられるっていうか、気遣わなくていいっていうか。お互いの関わりが薄まれば、自然舎兄弟解消も望める。ケイなら思いそうだね。
舎兄と舎弟の間で約束はあるけど、ケイの本心が見えない時がある。ヨウはそれに怖じているんだね。
「自然舎兄弟解消したら、彼はきっといなくなるだろうね。チームからも、僕達の前からも」
「……、こんなことならちゃんとした理由で舎弟にすりゃ良かったって思う手前がいるんだ」
「ははっ。ヨウがナイーブになってる。珍しいね」
俺だってナイーブになる時があるっつーの。
不貞腐れる俺に、ギャハハッ似合わないと指差して笑うワタル。涙目になって大爆笑してくれた後、「じゃあケイちゃーんに歩めばいいじゃん」意味深なことを言ってくれやがった。
ワタルはニタニタ笑みで言葉を重ねる。
「距離を取られそうになったら、こっちが距離を詰めればいいじゃーん? ヨウちゃんってそういうの得意でしょん?」
ケイちゃーんはわりと僕ちん達に一線を引く、けどな―…、お前なら俺サマ等と違って気ィ許している面も多々。
それは紛れもない真実だろうよ。自然解消されたくねぇなら、なんかアクションすりゃいい。
「アクションしていりゃ、自ずと意外と誘いを断り続ける理由も見えてくるんじゃねえの? テメェ等の倦怠期も打破できるっつーか?」
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