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(……、ロクでもねぇことを考えた罰か。この気持ちは)



 はぁ…、溜息をついて俺はビールを傾ける。
 未成年だから飲酒をするな? どーせ数年には大人になるんだ、今飲酒しようと近未来で飲酒しようと変わんねぇだろ。

 ちびちび飲酒する俺の陰りある様子に気付いたのか、「どうしたんだい?」ハジメが声を掛けてきた。
 「ヨウちゃーんがシケ込んでる」明日の天気もシケるっぽ、ワタルが茶化してくるがそれは無視することにする。こいつの茶化しに一々反応していたらキリがねぇ。

 ちなみに俺は今、ハジメの家で飲酒をしている真っ最中だ。
 弁護士をしている両親が今日は帰宅しないとかで、気兼ねなく家にお邪魔させてもらっている。面子は俺とワタルとハジメ、それからシズだ。黙々とシズはつまみを消費し、三袋目のスナック菓子を開けている。よく食うぜ、こいつ。
 
 馬鹿馬鹿しい話題で盛り上がっていた俺達なんだが、シケてしまった俺の態度のせいで空気が湿っぽくなる。
 「なんでもねぇ」俺は空気を霧散しようとしたんだが、「ははーん」ワタルが指を鳴らして分かったとニヤリ。

「ケイちゃーんがまた断ったからでしょーん? 今日の飲み会、ケイちゃーん来ないって言ったから落ち込んでるんだんく!」

 微妙に図星だ、クソ腹が立つ。
 「うっせぇな」俺の素っ気無い返答に、「ビンゴ!」ワタルがケラケラと笑声を上げた。ええい、腹が立つ。


「基本的にケイって誘ったらなんでもノッてくるからね。ヨウとしては飲み会にノッて場を盛り上げて欲しかった、みたいなカンジだろ。今日はどうして来なかったんだい?」


 ハジメの質問に、「飲み会はパス」それしか言わなかったと俺は肩を竦める。

 多分真面目なケイのことだから、飲酒は成人を迎えてからとか思ったんだろうけど、俺的には来て欲しかった。
 結構ケイを誘ってるんだぞ、飲み会に。だけどケイの奴、絶対飲み会には首を縦に振ろうとしない。頑なにパスをし続けるんだ。それどころか最近、何を誘ってもパスしやがる。たむろ場にもあんま顔を出さないし。
 
 最初こそなんとも思わなかったけど、パスされ続けると拒絶される気分になる。
 しっかもあいつ、昼休みは始終眠そうなんだよ。俺達と一緒にいても口数が少ないっつーか。…俺は女子か? 女々しいぜ、ったく。
 
 んでもってネガティブ思考に陥った俺は考えるんだ。
 ケイって俺達と関わっていることをどう思ってるんだろう…ってな。

 今じゃいて当たり前のケイだけど、あいつって元々不良と関わるタイプじゃないみてぇだから。
 ……実は自然破局でも考えているんじゃ、とか疑ったり。いや、べつにカレカノじゃねぇんだけど、ダチ同士でもあるじゃんか? 関わってはいるけど、次第次第に連絡や接触の回数を少なくして最後はバイバイ。みたいな?

 ケイって俺達と一緒にいるよりも、同じ系統の五木達と一緒にいる方が気兼ねなさそうだしな。
 最近は特にそうだ。あいつの教室に行くと、なんだか五木達と楽しそうに駄弁ってやがる。おいおいおい、俺達とはえらい差じゃねえか。なんって思ったり思わなかったり。

 舎兄弟で俺達とケイの繋がりを繋ぎとめているわけだけど、あーあーあー…、なんっつーか鬱だ。

 アルコールが入っているせいか、俺は自分の心情をポロリ。
 このままだと俺とケイは自然破局ならぬ自然舎兄弟解消されちまうんじゃないか、と。

 途端に三人は大爆笑してくれやがった。
 おい、俺は真面目に悩んでいるっつーのに、なんで笑ってくれやがるんだよ。ぶっ飛ばすぞテメェ等。
   



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あきゅろす。
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