012
「テメェ等に任せたが」「間違いでした」舎兄弟揃って肩を落とす俺等に対し、さあ食べてくれとばかりに各々目を輝かせる中学生組。
ふと俺は二人がデザートを取っていないことに気付く。俺等の分を取り過ぎて、自分達のは取れなかったんだな。
―…フッ、今日は俺、不良も地味も関係なしに接するって決めてるんだよね。
だからー、ちっとくらい返しても良いよな? 中坊達の気持ちにさ。
俺はにやっと笑みを向けて、ゲンナリしているヨウに視線を送る。
ヨウは俺の視線に気付いて首を傾げてきた。そんな舎兄に俺はわざとらしく咳払い。にやりにやり、笑みを浮かべながら言う。
「なあ、ヨウ。俺ってお前の舎弟だからさ、こう…弟分の気持ちにどう応えれば良いか分からないんだよね。ちょい兄貴が手本を見せてくれよ」
意味深な言葉に、ヨウは直ぐ理解を示してくれた。さっすがは兄貴だ!
「いいぜ。手本見せてやらぁ舎弟くん。うっし、ちょいテメェ等待っとけ。俺とケイでテメェ等の分、取ってきてやるから」
まだ取ってきてないんだろ?
意地の悪く笑うヨウに俺もにやり、中坊組は揃って「結構です!」遠慮してきた。俺等の悪巧みが読めたらしい。
だがしかし、此処まで兄分のためにしてくれた弟分達に何もしてやらないのはぁ、男が廃るってもんだぁ! 学校一恐れられているヤンチャ坊主のヨウが味方に付いてくれてるんだし、俺も徹底的にやってやるぜ!
「遠慮するなってキヨタ。ユージュアリープリティストロベリーショートケーキのお礼に、俺もキヨタにピッタシなデザート選んできてやるから」
「いえ、俺っちは全然!」
「モトもクールビューティーティラミスの礼に、テメェが輝けそうなデザート俺が選んできてやるよ」
「オオオオレ、お気持ちだけで十分です! ヨウさん!」
「あっれ? 兄分の気持ち、受け取らないわけ…ないよなー? キヨタ?」
「可愛い弟分に兄分が動くっつーんだ。好意は有り難く受け取れって、モート」
「う゛」言葉を詰まらせる中坊達に、極悪舎兄弟は口角をつり上げてみせた。
愛には愛で、友情には友情で返す。それが人情ってもんだろ? なあ?
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