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011



 
「しかもキヨタとモトは俺等の高校に進学してぇ言ってたしな。二年はもっと楽しくなりそうだ」


 あああっ、そうだ、来年はもしかしたら中学生組が進学してくる可能性がっ!
 クラス替えもあるだろうし、中学生組の進学も可能性が大だし、俺の二年の生活に…、やや陰りが差してきたと感じるのは何故だろうか。

「はぁ…、お先真っ暗」

 痛んできたこめかみを擦る俺に、

「ん? どうした、ケイ。あ、もしかしてクラス替えが不安か? 大丈夫だって、誰かとは一緒になるだろ」

 能天気な励ましをくれる舎兄。
 寧ろ俺はお前等と一緒になるのが不安でたまらない、と清々しく言えればどんなに気持ちが良いことだろうか!

 心中で涙を呑んでると、モトとキヨタが戻って来た。
 シズはまだデザートを選んでるらしい。本当デザートが好きだなシズって。じっくり選びたいんだろ。
 
 ということで、俺等はシズを置いて先に頂くことにした。したんだけど、俺とヨウはそれぞれ更に置かれたデザートの山に顔を引き攣らせた。
 おいおいおい、何だよこれ。俺とヨウの皿、異常なまでにデザート載ってねぇ? ケーキが五つにプリン一つとシュークリーム、そっちにはゼリー? ……んなにいっぺんに食えるか!


「こ。これは…俺等に対する新手の苛め? ですかね、兄貴」

「俺が知るかよ。おい、モト、キヨタ、こりゃなんだ」


 すると二人はよくぞ聞いてくれたとばかりに握り拳を作った。


「俺っち達、渾身の力を籠めてそれぞれ兄分に似合いそうなデザートを選んできたっス!」

「最初は三つずつ選ぼうってキヨタと話してたんですが、三つじゃ全然兄分の絵にもならないってどんどん追加してたら」


「こんな量になったっス!」

「オレ達の気持ちですね!」

 
 あっりがた迷惑な気持ちだな、おい!
 取ってきたからには食わなきゃならんっつーのに、こいつ等は分かっててやったのか? いや分かってないよな…、マジでもう。


「オレ、ヨウさんにはぜぇええったいティラミスだと思ったんですよね! ヨウさんが食べるだけでティラミスがクールビューティーティラミスに生まれ変わると言いますか! もう絵になって周囲の女をときめかせること間違いなしと言いますか!
ティラミスを一口、そしてヨウさんが『うまっ』と感想を漏らす。それだけでティラミスは世界レベルの美味しさになるんですよ! ということで最初にティラミスをどーぞ」

「……、モト、テメェな」


「俺っち、ぜぇえぇえええったいケイさんにはストロベリーショートケーキだと思うんっス! 有り触れた定番ケーキっスけど、普通のケーキっスけど、食べてみれば味わい深いストロベリーショートケーキっス。それを地味っ子ケイさんが食すっ。ユージュアリープリティストロベリーショートケーキの誕生っスよぉおおお!
最後の苺を食べ、そしてケイさんが『美味かった』と観想を言う。それだけでストロベリーショートケーキの真骨頂が発揮されるんっス! ということで最初にストロベリーショートケーキをどーぞっス」

「……、キヨタ。地味っ子って」
 
 
 うん、そうね、俺は地味っ子だよ。君たちに比べれば。
 しかしだね、うん、俺を美化して見過ぎかなキヨタくん。ユージュアリープリティストロベリーショートケーキの“プリティ”いらなくね? 食す俺ってどんなキャラだよ。ユージュアリープリティ田山? うっわ、キャラじゃねえ!




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あきゅろす。
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