015
てか…、もっかいやるのかよ、あのゲーム。
やだぜ俺、痛い目見るのは今日までで懲り懲り…、って言っても、ワタルさんノリノリだし。やるんだろうな。ハジメも「今から少しやる?」なんてとんでもない提案してくるしさ!
ヨウはまだ機嫌を損ねてるのか、あんま乗り気じゃなさそう。
でもワタルさんは構わず、条件を出してくる。
「四人だから罰ゲームはひとりでー、この四人以外の誰かに『愛してるんだぜドッキューン』って言って撃つ真似をする。どーよん?」
「じゃあ、一番最初に会った人に言うってのでやろう。しかもウィンクつき、どう?」
うわぁー…、マジでやるの? ハジメも超ノリノリだな。
どーせ二人は俺にやって欲しいんだろうけどさ。目がそう訴えてきてるし。
だけど負けてやるものか! ジャンケンに地味も不良もない! 平等だぜ!
「さーいしょは」の掛け声で皆、手を出す。
乗り気じゃないヨウも一応参加はするみたい。素っ気なくだけど手を出してる。「ジャーンケーン」の掛け声で皆、真顔になる。これは真剣勝負だしな。罰ゲームの対象になって誰がなってやるもんか。
ポン―。
あいこでしょっ、あーいこでしょっ、あーいこでしょっ。
……き、決まらない。
「なあに、皆、罰ゲーム受けてくれない感じ感じかんじー?」
ワタルさんは俺等の顔色を窺ってきた。
「もう罰ゲームはヤなんで」
俺は意気込む。
そう、今度は傍観者に立つんだ! 絶対に笑ってやるぅううう!
「……僕だったらヤダな。さすがに」
超ノリノリだったハジメも顔を渋る。
やっぱ自分が罰ゲーム受ける立場じゃヤだよな。俺もヤだもん。
「俺だってやりたくねぇよ。誰か素直に負けやがれ」
ヨウは真剣に文句を垂れてる。
素直に負けてくれる奴なんかいないだろ、この状況。「あーいこで」俺等は手を軽く振って、次の手を出した。
それと同時にガラッと第一視聴覚室が開く。俺等は度肝を抜いた。視聴覚室向こうの扉にいたのは俺とハジメの担任、前橋だった。「声が聞こえると思ったら…」俺達の声に通りかかった前橋が様子見に来たらしい。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!