011
その後も条件&罰付きジャンケンゲームは行われた。
罰ゲームの餌食になったモトがコンビニでエロ本と避妊具(つまりコンドーム)を買って来いって命令されたり、シズと響子さんが三分間甘々恋人劇場を演じたり、ココロがその場で歌ったり、ワタルさんが丁度現れたハジメにマジ告白したり。
ハジメも参戦して条件&罰付きジャンケンゲームは大いに盛り上がった。
んで、もう次で切り上げるかって話があがったんだけど。
その時の条件が『自分にとって一番恐い人に悪戯する』ってのになって、見事に俺とモトが負けたんだ。運がほんっとないよな、俺。
んで、モトの一番恐い人に悪戯って言ったらヨウだろ? あいつ、ヨウ信者だし。
でもって俺もヨウとは舎兄で繋がっているわけだから、ヨウは恐いわけで。一番恐いのはワタルさんだったりするんだけど…、まあ本人がいるから、一番恐いのはヨウにしておくんだけどさ。
俺とモトそれぞれでヨウに悪戯する話になったんだ。
丁度、ヨウはゲーセン一階で弥生とUFOキャッチャーしてたから、後日、それぞれ悪戯することになって。いつでもいいから、条件&罰付きジャンケンゲームをしたメンバーの誰かの前で悪戯をするってことになったんだ。
まあ…、それで俺は頭を悩ませたわけだ。
だってヨウに悪戯なんて…、そんな大それたことできねぇじゃんかよ!
下手すりゃ殺されかねないぞ!
なるべーくソフトで悪戯らしいのを考えようって俺も、教科書をエロ本もしくは絵本に摩り替えてみるとか、背中に『俺はイケメンです』って書いた紙をはっ付けるとか、いきなりヨウにマジ告白してみるとか、顔に悪戯書きしてみるとか。
あれこれあれこれ、考えてみたわけなんだけど。
どれもこれもヨウに殺されそうな気がしてさー。
真面目にどうしようって考えたわけだ。なんにも出てこなくて、俺は条件&罰付きジャンケンゲームのメンバーのひとり、クラスメートでもあるハジメに相談した。
「どうしようハジメ、俺、どーやってヨウに悪戯すりゃいいかな。ソフト尚且つ悪戯できるヤツ…、なんかあるかなぁ」
「そうだね。ヨウは悪戯好きだけど、悪戯される側になると嫌がるタイプだから、何をしたってケイが地獄を見ること間違いないと思うけどな」
脅すなってハジメ。
俺は顔を引き攣らせうんぬん考えた。教室にいた利二にも相談してみたんだけど、まーったく案が出なくて。寧ろ、「生きろよ」なんて同情してくれた。いや同情するなら代わってくれって、利二。
結局、俺はヨウの背中に『俺はイケメンです』って書いた紙をはっ付けるって悪戯の初歩中の初歩で挑むことにした。
ヨウの様子を窺うために授業と授業の休み時間に、こーっそりハジメとヨウの教室に足を運んだ。
そしたらヨウの奴、爆睡してた。
そういえば、今朝会った時、「先輩と麻雀してた」って言ってたな。徹マンっての? それをして寝不足だって言ってたな。
これはチャンスだって俺は早速持参していたプリントの裏紙にシャーペンで『俺はイケメンです』って書こうとした。
だけど、ただ『俺はイケメンです』って書くだけじゃ面白くないよなーって思い始めて、俺、ヨウの爆睡っぷりを観察して、もっと良い悪戯を思い付く。多分、この調子じゃ授業中まで爆睡してるだろうから、それにちなんで、
「えーっと…、なんて書こう。『只今、イケメン不良、安らかに冬眠中。お静かに』よし、これでいいか」
「ケイ、字が綺麗だな」
「これでも長年習字を習ってたしな」
我ながら達筆に書けた。
心中で自画自賛してたら、ハジメが語尾にハートマークを書き足してきた。
「これ、絶対ヨウ怒るって」今にも笑いそうなハジメは超ノリノリだ。俺も、その時ばかりはちょーっとノッてて、笑いを噛み締めながら「授業中、多分地獄見るよな」ってハジメに一笑。
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