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003


 

 まさか、みずほの捜している人物が身近にいる奴だとは思いもよらなかった。


 ネイリーに連絡を取って此処に来てもらうよう電話した2人は、みずほと共に応接室でネイリーが来るのを待っていた。
 みずほは思った以上に早く捜していた人に会えるとあって、かなり顔を緩めていた。腕に抱いている赤ん坊をあやしながら、ネイリーが来るのを待ち遠しそうにしている。

「良かったわねぇ。ネイリーさんに会えるのよ」
「だばぁ」
「貴方も嬉しいわねぇ」

 それを聞いた2人は、後ろを向いてヒソヒソと話し始める。

(ネイリーに会えること、あんなに嬉しがってるって何さ?! 明日は嵐かよ!)
(ウーン……きっと、ネイリーさんのご友人とかさ)
(もしかして、みずほって……ネイリーとデキてるんじゃ)
(ま、まさか)


(あの赤ん坊がネイリーのッ)

(え〜〜〜〜?! それはないよ! た、たぶん)
 

 どんなに女性が好きなネイリーでも、まさか……女性に手を出したワケでは。
 一応、彼も紳士という流儀を通しているのだ。そう簡単に手を出すわけ無いだろう。
 2人が恐る恐るみずほの方を見る。みずほはニッコニコしてネイリーを待っている。赤ん坊が「うぶぅー」と言葉を発して、キャッキャッ騒いでいた。


 ……何だか、そうでないと言い切れなくなってきた。
 

 ネイリーに限ってそんなこと。
 いや、ネイリーだからこそ……ということも。

 もしかしてネイリー違いでは?なんて思ったが、ネイリー・クリユンフっていったら奴だけだ。
 ネイリーという人物違いということは無さそうだ。嗚呼、望みがなくなってきた。やはりネイリーはみずほに手を出してしまったのだろう。
 紳士だと思っていたのに。ウザナルでも清純な人だと思っていたのに。


 手ぇ出したどころか、子供まで作るとは。


(ネイリーさん。失望しましたよ)
(馬鹿でウザイけど、そこまで落ちぶれてたなんて。ウザナルアホ吸血鬼め。あーひとりで来るよう言って良かった)
(ジェラールさんが知ったら)
(キレるどころじゃないと思うし)

 まだそうと決まってもいないのに失礼なことを思う店員2人。
 そんな2人とは対照的に、みずほは待ち遠しそうに胸を弾ませている。





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