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集会サボリ小事件簿


 
 
 ―――コンコン。


 末弟の部屋の前に来た螺月は軽くノックをしてみる。返事は無い。
 もう一度ノックをしてみる。やはり返事が無い。
 片眉をつり上げて螺月は強めにノックする。やっぱり返事は無い。


「あいつ、部屋で何してやがる。ノック聞こえねぇのかよ」


 愚痴りながら螺月はドアノブに手を掛け深呼吸。普通に扉を開けると大変なことになる。自分も巻き込まれてしまう。

 ゆっくりと扉を開け、末弟の部屋に一歩足を踏み入れてみると本の山、山、山。
 
 普通に開けていたらきっと本の雪崩れにあっていただろう。異様な本の山は、幼い頃から本ばかり読んでいた末弟の集めたものだ。よくもまあ、こんなに集められたものだ。末弟に感心する他無い。
 床には散乱した本と書類らしき紙達。時折、ぞんざいに丸められた紙を目にする。本の山はともかく、見事に散らかっている床に螺月は怪訝な顔を作る。
 足元に注意しながら慎重に部屋を進んでいくと、お目当ての人物発見。螺月はヒクリと口元を引き攣らせた。床で本を読んでいたのか、ページを開いたまま床の上で寝ている。


 床の上で寝るなと何度も注意しているのにも拘らず、コイツときたら…俺に宣戦布告か、喧嘩売ってるのかッ。


 青筋を立て螺月は末弟の直ぐ側にある本の山を蹴る。
 すると寝ていた末弟に本の雪崩れが襲い掛かった。本の雪崩れが相当痛かったのか、末弟は飛び起きて額を擦っている。
 

「アーイタタタタ…なんで雪崩がッ、イッター!」

「こんの馬鹿が! 床の上で寝るなって何度言ったら分かる!」


 痛い拳骨を喰らい菜月は悶絶。

 頭を擦りながら見上げてくる菜月の言葉ときたら「何度も言ってましたっけ?」と、これまた螺月の神経を逆立てる台詞。螺月は背中を容赦なく蹴った。「蹴りはあんまりです」菜月は唸り声を上げながら、何の用か訊ねる。


 「何の用だぁあ?」螺月は指の関節を鳴らした。


「先日、テメェ、念願の称号を得ただろ」
「頂きましたね。称号」
「で、今日、称号天使だけの集会があった。なのにテメェ…どうした?」
「欠席しましたけど…ッ、まさかそのことで怒ってらっしゃってます?」
「ったぁありめぇえだぁああ! 称号を得て、初めての集会を欠席する馬鹿が何処にいやがる!」





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あきゅろす。
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