とーちゃん、かーちゃん、すき
* *
楽しい時間はあっという間、と言葉があるように時間は矢の如く過ぎていった。
今日、風花と菜月が帰ってしまうことに子供達はシュンと項垂れていた。
まだ一緒にいたかったと言うものだから、風花は思わず「此処に住みたい」と声に出しそうになった。
それをグッと堪え、風花は子供達にまた来るからと約束する。
「おでんわ。くれる?」
「くれるくれる」
「じゃあ、おてがみは?」
「書く書く」
「また、あそびにきてくれる?」
「モッチロン。今度はあたし達の店にも来いよ。いっぱい遊んでやるから」
風花の言葉に、少しだけ笑みを浮かべ子供達は約束と声を揃えた。
菜月はちとせ達に頭を下げ「お世話になりました」と挨拶する。坤が首を横に振り「こっちが世話になった」と微笑した。
「いえいえ。お世話になんて……怪我は大丈夫ですか?」
「ああ。二週間で完治する程度の怪我だ。心配は無い」
「そうですか。大事に至らなくて良かったです」
「とーたま。ぜったい、またきてね」
コン三郎が菜月のズボンを引っ張り見上げてきた。
勿論、と頭を撫でればコン太郎とコン次郎が「ズルイ!」と抗議してくる。
微苦笑して2人の頭も撫でてやれば、満足したように笑ってきた。
「とーたま。かーたま。おれ、だーいすきだから、またあそんでな!」
「ぼくも、だーいすき!」
「おいらも!」
「あたし達も大好きさ。あ、そうだ。あんた達にしつもーん。『とーちゃん』『かーちゃん』は大好き?」
その問いに子供達は笑顔で「大好き」と声を揃える。
坤と伊綱に視線をやり、風花が2人に笑い掛けた。
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