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015



『お前達が無事で良かった。本当に、良かった』
「だねぇ。あたし、寿命縮まったし」



「アナター! 林道さん! コン太郎! コン次郎! コン三郎!」


「はぁっ、はぁっ、みんな無事ー?! ……っ、も、ダメ」


 
 坤と風花の後を追って来た菜月と伊綱が漸く到着したようだ。
 息を切らしている菜月は、伊綱をおぶっていた。近くまで来ると伊綱を下ろし、ゼェゼェと膝に手をついて息を切らしている。伊綱は菜月に「後でちゃんとお礼言います」と一言伝え、子供達に駆け寄った。
 

「コン太郎! コン次郎! コン三郎!」

「かーちゃん。っ、ダメだよ。はしっちゃ。びょーじゃくなのに」

 
 コン三郎が注意するが、伊綱は子供達を抱きしめて「怪我ない?」と無事を確認する。
 子供達は「ダイジョーブ!」と声を揃えた。

「とーちゃんがね、とーちゃんがね、おいらたちをたすけてくれた。かーたまも、おそばにいてくれた」
「そうなのっ、良かったわぁ。良かった。アナタ、怪我は?」
『大した事ない』
「そおっ、良かった。良かった」
「っ、うぐっ! かーちゃん、おれ、くるじいっ」
 
 強く抱きしめられ子供達が苦しいと悲鳴を上げる。
 風花は笑って子供達に言った。


「かーちゃん。あんた達を心配して此処まで走って来たんだ。病弱なのに一生懸命、あんた達の為に走ってきた。これがあんた達の『とーちゃん』『かーちゃん』。誇れよ」

 
 そう言うと風花はダウンしている菜月のもとへ駆け寄る。
 まだゼェゼェと息を切らしている菜月は地べたに座り込んでいた。


「よ、お疲れ。地味に活躍したじゃん」

「あははははーっ……活躍なんてしてないよ。伊綱さん、途中まで自分の足で走ってたし。だけど苦しくなったみたいだから、俺が半強制的におんぶしてきた。おかげでこの有様。しんどいよ。風花は大活躍だね」

「ううん。あたしも地味に活躍してただけ。今回の大活躍は坤と伊綱だよ」

 
 稲荷家族の方を見た風花は、満面の笑顔を作る。
 子供達が自分達の採った山菜を坤と伊綱に見せている。
 2人の分も一生懸命に採ったのだと笑っていた。そんな子供達に、伊綱は子供達の頭を撫でている。坤は子供達を褒めているようだった。
 
「これでグーンと距離、縮まったよな」
「うん。そうだね」
「これからもっと縮まるよな。あいつ等」
「きっと、縮まるよ。きっと」
 
 
「とーたま! かーたま!」

  
 コン太郎が自分達を呼んでいる。
 大きく手を振って、子供達が自分達に採った山菜を見せて破顔した。

「とーたまとかーたまのぶんも、いーっぱいとったよー!」
「おれがイッチバンとれた!」
「ちっがう! おいら!」
「ふたりともちがう。ぼくがイチバンとれた」

 喧嘩し始める子供達に、風花と菜月は吹き出し声を上げて笑った。
 今回、本当に此処に来て良かった。本当に良かった。
  




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あきゅろす。
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