013
風花の心の中で、葛藤が始まった。
どうする。
助太刀するか、それとも最後まで見守るか。
子供達を見下ろせば、自分の耳を垂らし尻尾を震わせている。
不安を抱いているのだ。自分の本当の父親が負けるのではないか、と。
「あんた達。信じろ。とーちゃんは絶対、アイツに勝つ!」
「かーたま……でもぉ」
「絶対に、ぜぇーったいに勝つ! 信じろ!」
拳を作って強く子供達に訴える。
子供達は風花の顔を見つめ、弱気な顔から強気の顔へと変わった。
「おいら、しんじる」
「ぼくも」
「とーちゃんだもんな。ぜったい、かつっ! おれをたすけにきてくれたんだ! ダイジョーブ!」
あんなイタチに負けないと子供達が言い切った。
満足したように風花が笑みを浮かべ、坤の方を見た。
「坤。頑張れよ。あんた達、今からなんだから」
3年前の忌まわしい過去を断ち切るために、絶対勝てよ。
風花は強く強くそう思い、坤の勝利を祈願した。
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