012
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翌日、風花達は山菜採りにやって来ていた。
旅館の周りには美味しい山菜が沢山採れると情報を得て、折角来たからと山菜採りにやって来たのだ。
子供達は勿論、坤や伊綱も一緒だ。
ちとせに散々「子供達と一緒にいってらっしゃい!」と言われたようだ。稲荷家の中で誰が1番権力を持っているのか、この出来事で一目瞭然だ。
昨日に引き続き、子供達のテンションは最高潮。
何処まで上がるのだろうか?と思うほど、テンションが上がっていた。
ピョンピョン跳ね飛びながら、山菜を探している。
日頃から山菜採りに来ているようで、ある程度、子供達は山菜の知識を得ていた。
次々に自分のカゴに山菜を入れていく。そんな子供達に風花が「さっすがー」と褒めれば、子供達が目を輝かせた。
「おれ、すっごいだろー! かーたま!」
「おいらもすっごいでしょー!」
「ぼくもすごい?」
「みんなスゲーって。沢山採れてるじゃないか。あたしや菜月なんてまだ、ゼロだよ。ゼロ」
「じゃあ、とーたまやかーたまのぶんも、がんばるー!それからー……」
コン太郎がチラリと坤と伊綱を見た。
2人と目が合えば、コン太郎が少し焦りながらも、2人を指差して声を張った。
「おいら! とーちゃんとかーちゃんのぶんもがんばるからな!」
「コン太郎!ぬけがけすんなー! おれだって!」
「じゃあ、ぼく、とーちゃんとかーちゃんのぶんもがんばってくる」
「コン三郎も! ぬけがけキンシー!」
喧嘩しながら子供達が山菜採りを再開する。
不意を突かれた坤と伊綱に、風花が笑って2人の肩に手を置いた。
「あんた達の分も採ってくるんだってよ。採ってきたら、ちゃーんと褒めて頭撫でてやれよ」
「拒絶されませんよ。大丈夫です」
「……ああ。そうだな」
「私達の為に採って来てくれると思うだけで、嬉しいわ」
伊綱が顔を綻ばす。
菜月と風花も笑みを浮かべ、子供達の方を見た。
子供達は夢中で山菜を採っている。自分達の為、そして本当の親の為。
確実に進展している彼等の関係に、どうしても喜ばずにはいられなかった。
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