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羽柴みずほの依頼



 

 ―――カランッ、カランッ。

 
  
 心地良い涼しげな鈴の音が聞こえた。



 鈴の音色を耳にした菜月は水道の蛇口を捻って水を止める。
 ホットケーキを頬張っていた風花は、口の中に残っているホットケーキを飲み込んで扉の出入り口に目を向けた。


 鈴の音が聞こえるということは、此処“何でも屋”にお客が来たということだ。

 
 大抵、昼下がりに訪れてくれるのはネイリーやジェラール。夕方頃に訪れてくれるのはあかりだ。
 今の時刻を見ると14時過ぎ。
 

 2人はてっきりネイリーかジェラールだと思った。


 しかし、此処を訪れてくれたのは見知らぬ女性。
 可愛らしい赤ん坊を抱いている。お客だ。


 女性はふんわりと笑みを浮かべて会釈してくると扉を閉めた。
 
 
「此処、何でも屋とお聞きしたのですが」
「はい、そうです。いらっしゃいませ。ご依頼でしょうか? お話は応接室の方で。風花、宜しくね。俺、お茶淹れてくるから」
「オーケー。それじゃ、応接の方に行こ……行きましょうか」
 

 一応、お客だということで風花は敬語を使う。


 不慣れな敬語を使う風花の言葉に菜月は笑いを殺して、お茶の用意をし始める。
 それに気付かない風花は腰を上げると女性を応接室に誘導する。
 
 ドアノブを回して応接室の扉を開けると、風花はテーブルへと向かった。
 若葉色のテーブルクロスが、窓から入ってくる微風によって小さく揺れていた。
 
 



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あきゅろす。
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