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1-3

  

 
「うわっ、俺っ、風花と一緒に寝たんだっけ?!わわわわっ、どーしよう!」
 
 

 取り返しのつかないことをしてしまったのではないだろうか?
 女性と一緒に寝るというのは、男として責任を取らなければイケないと確か何かの本で読んだ。


 しかし、女性と寝るというのは、悪いこと?


 いやいや、子供と母親が寝ることは悪くない筈。
 だったら自分と風花が一緒に寝ても問題はない。


 では、どうしてあの本は男として責任を取らなければイケないと書いてあったのだろうか?


 顎に指を絡め、冷汗を流す菜月は、冷静さを失っていた。
 菜月は女性と共に寝たことがない。
 だから、こんなにも焦っていた。

 しかも身内関係なく女性と親身に接するのは、風花が初めて。目を泳がせ、蹲って悶々と考える。


「悪いこと、はしてないよね。俺。寧ろ、蹴り飛ばされて、痛い目に遭ったんだし。でもでも!万が一ってことがあったら?俺、どう責任とるんだろ!嗚呼、どうしよう!いや、でも、布団は別々だったし。何も問題ない筈。うん、そうだ。何も」

「ンー……菜月、何してるの?」


 頭上から声が降ってきた。
 

 菜月は、ビクッ!と肩を震わせ、顔を上げる。

 風花が大きな欠伸をして、目をとろんさせて菜月を見下ろしていた。
 「心臓が飛び上がるかと思った」菜月が胸に手を押さえ高鳴る鼓動を手で押さえる。

 微かに額に浮かんでいる汗を手の甲で拭っていると、風花が大きく背伸びをして上体を起こしていた。

 寝癖がついた髪を整えることなく、目を擦っているものだから、悩みなんか吹き飛んだ。

 やはり、自分は何も悪くない。
 男として責任を取らなければイケないという、あの本が間違ってる。


 ウンウン頷いて、菜月はベッドに腰掛けた。


 胡坐を掻いている風花は、「よく寝た」とぼやいている。
 とても目覚めが良かったようだ。対照的に菜月は、痛い目覚めを味わう羽目になったが。

 折り畳んでいる翼を広げ、また大きく背伸びしている風花の頭が完全に目が覚めるまで暫し時間が掛かった。
 やっとのことで完全に目を覚ました風花は、手を叩き「今日から一緒に暮らすんだよな」と菜月に訊ねた。



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あきゅろす。
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