何でもない関係
とある活気ある街の路地裏を通り抜けると、殺伐が満ちている廃れた公園や空き地が迎えてくれる。
人なんて寄り付かない静かな場所は、まさに静寂という名の空気が辺りを包んでいる。
廃れた空き地や公園を脇目に道を進んでいくと大きな森が見えてくる。
この辺りを守護するような大きな森は、そんじょそこらの森とは違いとても貫禄があった。
大きな森の出入り口付近に小さな建物がポツンと建っている。
建物は家に見えるが、どちらかといえば家というより何かをやっていたお店に見える。
殺伐とした空気が漂っているせいか、とても物淋しく見えた。
その物淋しいお店には、ひとりの少年が住んでいた。
少年の名前は鬼夜菜月(おにやなつき)。
現在18歳の男の子で、このお店に住んでいる、お店の持ち主だ。
そして、もう1人、このお店に女性がいる。
女性の名前は林道風花(りんどうふうか)。
現在年齢不明、銀色の髪を持った女性で、実は人間ではない。
彼等は、別に親しい関係ではない。
親戚同士というワケでもない。
2人は1週間ほど前に出会ったばかりの赤の他人同士だ―――。
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