013 突然お邪魔したことを詫びれば、少年は気にしないで欲しいと笑みを浮かべ自己紹介をしてきた。 彼の名前は鬼夜菜月というらしく雪之介の目から見て、雰囲気でなんとなく自分達より年上だということが分かった。片耳にピアスをしているし。 菜月は自分達に弁当がないことを知ると、一緒に弁当を食べて欲しいと言ってジュースを渡してきた。 「ジュース、大丈夫だよね?」 「大丈夫ですよ。ありがとうございます。菜月先輩。あ、先輩って呼んでイイですよね?」 先輩、と呼ばれて菜月は目を瞠った。 もしかして年上ではないのだろうか? 首を傾げながら、年上でしょう?と聞けば菜月は頷いた。あかりは凄いと手を叩いた。 「ユッキ。凄い。菜月くん、私達より年上だよ。今年で21」 「21?!」 「あはははは、やっぱり驚く?」 冬斗が素っ頓狂な声を出して驚いている中、雪之介はそれぐらいだろうなぁ…としみじみ思った。 顔とかの問題じゃない。 雰囲気で何となく分かるのだ。 重箱を開けて菜月が「食べてね」と皆に勧めていると、誰かがシートに上がってきた。 雪之介はシートに上がってきた人物を見て、誰にも分からないように息を呑んでしまった。 銀髪の女性。青い瞳をしていて、冬斗と手毬は外国人?! と驚き声を失っていた。 自分も色んな意味で声を失った。 だって、この女性は人間じゃない。 肌で感じる。この女性は悪魔なのだ、と。 だったら菜月先輩も? と雪之介は菜月の方を見る。 いや、彼は人間だ。魔力とか妖力とか何も感じない。 じゃあ、彼は知らずに彼女と一緒にいるのだろうか? ちなみに彼女の名前は林道風花というらしい。 雪之介は菜月と風花のやり取りを見ながら考えていたが、その考えは否だという結論に達した。 2人の会話、やり取り、雰囲気に呼び名、そしてお揃いであろうピアス。 それを見ていると彼等は、恋人同士なのではないだろうか? 雪之介はそう思って2人に訊ねる。 [*前へ][次へ#] [戻る] |